枕元にて

「愛してる」
「うん、愛してる」
「それ本気?」
「えっ…えっと、うん」
「俺は本気」
「うん」
「君、塩取って、いいよ、ぐらいの軽さで言ってるでしょ」
「あ…うん、そうかも」
「なあ、俺の事どう思ってるの?」
「ん、好き」
「愛してる?」
「愛してるってどういう意味?」
「……意味…んー、好き、の上位互換?」
「感覚?」
「うん、まあそう。感覚。好きとは違う感じ。わかる?」
「ごめん全然わかんない」
「じゃあ好きってどんな感じ?」
「んー、好きって言われて嫌じゃない、好きって言って違和感がない」
「なるほど…。愛してるって言ってみて違和感ある?言われて嫌じゃない?」
「……愛してるは全体的に不可解で違和感がある」
「なるほど……」

「俺とこの先も一緒にいたい?」
「どのぐらいの期間?」
「うーん、半年から一生」
「ん〜…。わかんない。三ヶ月は多分」
「その先は?」
「不透明な感じ」
「…なるほど…」

「他に好きな奴いる?」
「好きって言ってる人はいない。言ってくる人もいない」
「いや俺以外に気になる奴いる?」
「気になる…?」
「俺以外に付き合いたいと思う男」
「君と付き合ってるからそういう想像はしない」
「なるほど…」

「どっか行きたいとこある?」
「ん…。地球の裏側とかでもいいの?」
「何でも、好きに言ってみて」
「湖水地方でピーターラビット見たいなあ…」
「ああ、いいね。行こうか、いつか」
「ほんとに?」
「きっとウサギかわいいよ」
「うん」
「動物園のウサギは?」
「ウサギならどこにいても好き」
「じゃ、今度動物園行こうか」
「うん。麒麟も見たい」
「麒麟も好きなの?」
「うん。なんか…動くの見てたい。ずっと」
「僕は麒麟見てる君を見てるよ」
「麒麟見てあげてよ」
「毎日見られてウンザリしてるよ」
「それもそうかもね」
「俺に見られるの嫌じゃない?」
「ん、照れる」
「じゃ、ずっと見てよっと」
「やめてよ」

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