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泡沫

あなたの奥が軋む音が聞こえる
小さく震える声が私を呼んで
触れるのを躊躇った

優しさが馴染まない傷跡を
庇いながらあなたは
矛盾でバランスを保つ

全てほどいたら壊れてしまうと
思っているんでしょう
組み立てたら全く違う
あなたになってしまうんじゃないかと

求めたら遠ざかるもの
近づいたら聞こえなくなる音
手を伸ばせば霧散する影

あなたが映し出した世界と
あなたが目を逸らした世界と

「ねぇ知ってる?
あなたが私といて楽な理由は
あなたの気色悪い欲望を
私が知っていて黙っているからよ」

あなたがあなただと思っているものは
多分全て嘘で
見え透いた回帰願望は痛々しい

愛が無条件に限りないものなら
探し求めた先にはないんじゃない?ねぇ

壊れた現実を前にして
完全なあなたが立っている
楽園を身の内に宿して
触れる全てに戸惑い涙する
せめて縋る腕があればと

矛盾なく現実と折り合えば
一度も壊れたことのない心だろうけど
何度も降ってきた星の欠片
裂けた大地から噴き出す赤い河が
私の心を熱く焼く
荒々しく落ちる滝壺の下
誰にも聞こえないように愛し合おう
虹に誓ってくだらない約束をして
永遠を口にしても構わない

happy endを宿して
ever afterを歩いてる
奇跡を否定されたって
枯れない泉から溢れ出す心

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