道端にて

「君ってさあ」
「あ？」
「そこそこモテるじゃん。どこいっても『是非あなたがいい』って女の子いるじゃん。しかも結構かわいくてしっかりしてる本当にいい子ばっかじゃん」
「…褒められてる気がしないけど、そう…だな…？」
「なのにさあ」
「うん」
「何で全部ダメにしていつも私のとこに戻ってくんの？」
「故意じゃねーよ」
「最初の彼女が一番いい子だったよね。何で別れたの？」
「覚えてるだろ、君のせいだよ」
「普通さ、新しい便確保してから前のやつキャンセルしない？」
「人生はフライトじゃねーし」
「リスク管理しないと」
「株じゃねーし」
「一緒だよ。利益重視でやんなきゃ」
「君に言われたくないわ」

「似たもの同士なんだと思ってたけどさあ」
「あ？」
「むしろお互いに束縛してたんじゃないかな、と思って、私たち」
「そうか？した覚えもされた覚えもないけど」
「私もなかった。でも罪悪感というものがあった」
「ああ…。それ、あるかもな」
「だからやめよう」
「何を？」
「これを。じゃあ、もう二度と連絡しないから！さよなら！！！」
「ちょっ、まっ……」

〜15年前〜

「…僕が好きなのは…君…」
「うん。知ってる。私も好きだけど？」
「……そう来るとは思わなかった」
「どんな妄想してたんだよ」

（……追いかけて来るわけ、ないか。そうだよね、ここで来るなら、15年も経つわけないよなぁ…さむ…）