リフレイン/フラッシュバック

時々、桜流しの「まだ何も伝えてない」
というフレーズが頭の中で延々とリピートされる

まだ何も伝えてない
まだ何も伝えてない
開いたばかりの花が散るのを

うただひかる

その人が死ぬことを想像した時
このフレーズが頭の中で流れる
終わりだなんて残酷だ
まだ入り口にも立ってやしないのに
まだ出会ってさえいないかも知れないのに

そんなのってないよ

セーラームーン なるちゃん

メメントモリ

私は小さい頃から思っていた
「今日私が死んだらこの人は今言ったことを
 今したことを後悔しないんだろうか」
そして人を軽蔑していた
「私が今夜死んだらとは考えない浅はかな奴だ」
あるいは自嘲していた
「この人は私が死んでも気にしやしないよ」

前世で死んだような気がする
前世があるなら死んでるはずだけど
私はきっと前世で死んでる
生まれた時から死を感じていた

明日の朝が来るかどうかなんて
誰にもわからない
未明の火事で焼かれた身体から
魂はうまく天国へ抜け出せただろうか

あの日の朝日を見ることなく
圧死した人々の魂は
前の晩の言葉を覚えていただろうか
最後の会話はちゃんと
最後の会話だっただろうか

明日があるって思って
今日はこれでいいや
めんどくさいから別にいいや
あとで適当にごまかしておけばと
そう思っていても

誰かが乱暴にそれを剥がして毟り取って
火にくべて焼いてゴミに捨てるかも知れない
人生とはいつもそういうものだ
だからきっと私はいつも痛いのだ
「明日がある」前提の話が全て矛盾に聞こえる
明日が来るってどうしてわかるの?

今の話がしたい
明日終わる世界で今だけの話がしたい
昨日はもしかしたらもう存在してないかも知れない
不確かな今を支えるために
過去と未来を繰り出したって
どっちも大して役に立ちゃしないし
どっちも期待外れで的外れでぶっきらぼうで失礼だ

「もう寝なきゃ」
そうね
「もう寝なさい」
そうね
「また明日」
そうね

でも私たちは
今夜のうちに死ぬかも知れないのよ

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