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猫と歩幅

あの日君と通りすがりの猫を見た
禅を感じる風景の中
一匹の猫が僕らの前を横切った
どこへ行ったのだろう
どこに住んでいるのだろう
僕も君も猫みたいだと思った
あれは完全な瞬間だった

ねぇどうして
狂おしいほど懐かしいのだろう
君の声に救われてゆくのだろう
生きていけると思ってしまうのだろう

このあたたかい気持ちはどこから来るのだろう
あなたの中から?
それとももっと遠くから?
それとも私の中から?
全て繋がっているの

別れを必定とした出会いだから
私はずっとずっと寂しかった
生きることはどうして悲しいの
それは生きているから
悲しみが寂しさが怒りが憎しみが愛が
輝くからあなたは美しいの

あなたの歴史が内包する
煮詰まった孤独
光より速く時間さえ超越して
想いが心に届くなら
ねぇ私の願いも
いつかのあなたに出会えるかしら

歩幅合わなかった二人のリズム
「ちょっとゆっくり」言えばいいだけなのに
息を切らしながら早歩きした

革靴が足に馴染み靴擦れが治まるように
ねぇあなたと心を馴らしてみたいわ

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