発見

僕の中で隠れ見つけられたがっている
感情、感情、感情
鬼ごっこではなくて
かくれんぼのはずなのに
僕は鬼から隠れている
君に見つけて欲しいのに

「ああここにいたんだね」
誰かの迎えを待っている
ずっとじっと待っている
僕を見つけてよ
僕を連れて帰ってよ
本当の家まで

ここは戦場
隠し扉の奥で僕は蹲っている

見つけてよ
見つけてよ
僕を見つけてよ

でも見つかったら殺される
だから僕は隠れている

「ああここにいたんだね」
「ガス室へ連れていくの?」
「どうして?」
「だって僕は存在してはならないから」
「何故存在してはならないの?」
「僕は人を憎んでいるから」
「そう、僕はまさに憎しみを探していたんだよ」
「何故憎しみを探すの?」
「はじめは無ければいいと思って、見つけたら殺そうと思って探していた。
でもそのうちに、憎しみなしでは困るって気付いたんだ」
「何故気付いたの?」
「君がいないと寂しいからさ」
「憎しみがないと寂しいの?」
「そう」
「じゃあ、僕がいると寂しくない?」
「君の部屋を君が使ってくれると嬉しいし寂しくないな」
「僕にも居場所があるの?」
「もちろんあるよ」

僕はついに見つかってしまって
部屋までもらってしまった
布団があって眠れる
僕は憎しみという名前らしいけど
もう君に憎まれていないみたいだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?