たんじょうび

何が欲しいと聞かれて
あんなに毎日
あれがないこれがない
なんとかしなきゃと焦っていたのに
欲しいものはもうひとつも
思いつかない

たんじょうび
昔は何をねだったっけ
ひとつ覚えているのは
寒い中お気に入りのキャラクターショップで
たくさん小物を買ってもらったこと
何が入っていたかは覚えてない
でもあの袋はずうっととっておいた
あの日の嬉しさを
忘れたくなくて

きっと未来はなんとかなって
誰の不機嫌にも遭わずに一日を過ごせる日々が
いいえあの人の不機嫌から逃れた暮らしが
私を受け入れてくれて
全てを忘れてしまえると思っていた

私でなくなりたかったから
私は私を捨ててしまった
お気に入りの雑貨も
愛してたぬいぐるみも
もうどこにもない
世界のどこかで焼き殺された

ママのお気に入りの私は
ママが気に入らないと
「死ねばいい」って目で見られる
そこにちゃんと本物の殺意が込められていることを
私だけが知っていた

バースデーケーキの赤色は血の色
チョコレートにはコカインがまぶしてある
そうよ生まれたことは
ちっとも嬉しくなんかなかった