反応

私はあの日
彼の本音から逃げ出した
私の前に
身体も心も精神も
全てで存在して
私だけを見てくれた彼の
真っ直ぐな瞳を見ることが出来なくて
逃げ出した

何故そうしてしまうのか
わからなくていつも怖かった
足りないものは何なの?
不要なものは何なの?
まるで見当もつかず
そしてあの頃はその問いかけを
口にさせてくれる人もいなかった

誰の名前も思い出せない夜の中
研ぎ澄まされた正気と狂気の真ん中で
心は四散していった

出来るだけ透明に
透明に近い色だけを選んで
私は世界をレースカーテン越しに眺め
もう愛さなくなった

痛々しく思いながらも
信じて見守り続けてくれる人は
遠くに遠くにいて欲しかった
私がいなくなったことなど
知らないままでいて

桜に憧れた
命も風や雨で落ちてしまえばいい
せめて美しくせめて潔く
せめて少しでも人間らしいうちに

涙にさえならない
歪に固まった黒い感情
誰が触れられるのだろう

一度も壊れることなく
真っ直ぐ強く育まれた彼の前に
私は何一つ見せたくなかった
知りたくなかった
もう知っていたから

「君といると惨めなんだ」
そう言えたら良かった?
逃げ出したのは私だった
信じなかったのは私だった
何も言おうとしなかったのは私だった
ただ待つばかりで責め続けた

だってどこにも
何も掴む物なく冷たい草原を
闇の沼まで引きずり込まれるようで
声さえもう
出せなかったんだ

記憶が無い
私は一体どうやって泣き止んだ?
その後何があった?
一人では思い出せない

ただここにいるだけの私に
辿り着くのにあとどれほどの
痛みを越えたらいい?
出会いたかった人はもういない
それでも
桜が美しいから春を
春を待つ


あとがき
なんかザワザワしたので書きました。言う前に決めつけて黙っていることって、沢山あるなと。思い切って言うと、大抵予想外の展開になったりして。いい結果とは限りませんが。いい結果ってなんだ?
今日は寒すぎました。しかも調子に乗って歩きすぎて傷が痛くなってしまって、少し不安に駆られてます…(´・×・`)

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