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後懐

思い出のトランクずっと引きずって
あちこち旅をしても
お土産も入らなかった

どうしても手放せないのって
肌身離さず一緒にいたの
だからあの日も逃げ遅れた

わかっていたのよ今すぐに
手を離さないと手遅れになるわ
火も煙ももうすぐそこまで
私の心が燃えてゐる

私達は懐かしさのただ中に生まれて
別離の先端が胸を穿つ
世界は何度も壊れてはまた顕れるの
私魂の裏側で
あなたの掌をすり抜けて

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