きれいごと

綺麗事を聞き飽きるどころか
使い飽きて
思い飽きてしまった
わたしたち

それで殴られる痛さも
それで誤魔化す気持ち悪さも
もう沢山で
でもじゃあどんな言葉が
今のわたしたちに馴染むのだろう

吐き出した咳は
白く冬に溶けた
あなたが体を折り曲げて
泣いた

本当の気持ちを語るのに
不慣れなわたしたちは
不器用に寄り添い合い
ごめんねって繰り返した

りんりんりん
不意にかかってくる電話
わたしと世界を繋ぐ
一本の糸の源流辿れば
遠くあなたと繋がっていることを
わたしはもう気付いてる

ひとりではない
そんな言葉が全てを解くわけじゃない
それでも照らせばいい
悲しみが癒えなくても
傷がどんなに痛んでも
歩き出す意味さえ見えなくても

ここでわたしに預けたらいい
今この時が全てを凌駕すること
わたしも全てが怖いけれど
強くなりたいと思うとき
あなたの優しさに包まれ
あにたの寂しさに触れる

わたしはわたしに触れる
わたしはわたしを抱く
遠い昔自分で禁じた祠の奥
まだすすり泣くわたしを見つける
あなたに会えるよ
そう伝えると
顔を上げ少し笑った

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