魅せられて

絶望に魅せられて
私は死に切れない
死に切れば子いわく
真に生まれることが出来るというのに

幻想が蔓延している
愛とやらは神と同じように
昨今汚れ切って死んでしまった

愛の名の下に
どれほど多くの血が流されただろう
どれほど多くの命が失われただろう

手放すことひとつ
上手く出来ないでいるんだ
そんな自分に絶望することに
魅せられている私はやはり滑稽だ

自分を嗤っても誰も
褒めてくれるわけではないのに
自嘲癖が治らないのは
防衛策なのか

身を守るための仕組みが
身を滅ぼしてゆく皮肉の中で
繋がり続けることが苦痛だ

愛と名付けられたものは全て嘘だ
だから私は誓わない
愛で彩られたものは全て嘘だ
だから私は信じない

兵は何も勝ち取らず
ただ死へ向かい行進してゆく

ことばがたりない
私は空っぽになって
涙で満たされてゆく

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