オルフェウス、君は

オルフェウス
君の声は僕の琴線に共鳴した
それは何を証明することもなくただ
君も僕も
そして人も獣も
命という孤独を抱えて生きていることを
僕に教えてくれた

冥府の住人達に
孤独はあったのか?
その残像を見ているのか
はたまたそれ自身になってしまったのか

寂しさが渦巻く
言葉の羅列を眺めながら
僕は音を探っていた
彼の音は不当に澄んでいた
まるで
種を抜き取られた後の果物のように
あっさりとしていた

命を呼ぶから
僕の命も傷も疼いた
死にたい心が二つあっても
朝には辿り着けない

オルフェウス、君が
冥府へ降りてまで欲しかったものは何?
オルフェウス、君は
僕を越えてゆくのだろう

耳には美しい旋律の残響が
いつまでも残っている

あとがき
GARNET CROWの「未完成な音色」という曲がとても好きで、それがオルフェウスの神話を下敷きにしているということで、オルフェウスも大好きです。
死に引き裂かれる、というのは悲しくやるせないですね。ある朝ふと草むらの蛇に噛まれるように、死は無差別に唐突に訪れるのか、それともじわじわと足音を立てながら近づいてきているのか。とりあえず今を精一杯生きたいものです。

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