誓願

とどのつまり私は
自分が必要とするものに
同じく必要とされ
そのバランスの悪くない様相をもってして
幸福と見なし
死までの見通しを立てたいのだ
明日死ぬとしても

さして私を重要と見なさぬものに
庭を踏み荒らされた時
私はまず許し
それから怒り
ほどなくして憎み
最後に傷つくのである
そして庭も家も廃墟になっていく

許そうと思い立つ時点で
既に許しているのだと書いた
やがて怒る気も憎む気も失せた
許しと憎悪は両立しない
矛盾が苦しみを解いた

私の望んだ無の世界が目の前に開く
もう許し終わっているのだから
それ以外のことをしてもよいのだ
私は改めて気づく
わからぬものに恐怖していた自分に
庭を踏み荒らした強盗に
安寧を期待していた自分に

天を仰ぐ
救いの条件は申し込みだという
私は平穏を望む旨を書き
それを燃やして天に提出した
神は人を愛しているらしい
だからきっとこの心にも
よきにはからってくれるだろう

許しの中に幸福を期待していたが
既に許しを得た私が幸福でないのなら
探し求め歩かねばなるまい
幸福とは贅沢品であるか
木の根をしゃぶって生きねばならないか
飢える間もなく死んだ大勢に遠慮して

神は私に幸福を許すか
もし私が生きて幸福を享受する瞬間が訪れるなら
それは許されている証だろう
神が私にそれを与えたくないならば
千年探そうとも見つからないのだろうから

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