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gips

ガラ空きの二階席で
フラペチーノの寒さに震える
あと何回秋を越えるのだろう
重ねる度に感じなくなればいつか
空っぽになれるかな

罪はいつも寂しがって
世界中に感染したがるの
私もあなたも犯したでしょう

許せないと泣くあなたは
許そうとして苦しむの
どちらでも構わない
あなたはもうそこに辿り着いている

傷は怒りで覆われて
治るのを待っているけれど
凍ったままでは血が通わない
溶ければ痛みが戻ってくる

どうすればいいの?
答えは多分探してない
闇雲に傷つけた世界があなたに敵対する
互いのギプスを武器に
闘うかつて愛し合ったはずの二人

許せないと嘆くあなた
ねぇ許したいと思った時にもう
許しているのよきっとだから
折れた腕を振り回すのはやめて
痛くなくなるまで撫でてあげましょう

あなたの心が泣き止むまで
その傷の血が止まるまで
悲しみの雛鳥を匿いましょう
怒りの壁を囲いに立てて
何を拒絶しても構わない

その悲しみが癒えるまで
護られていていいの
今いる場所がわかれば
みんな帰り道を見つけるわ

許せないと泣いていた私
とっくに許していた私
鉄筋コンクリートがいいわ丈夫だから
怒りは私を守る盾になって
ここに確かにある痛みで
迷子の私を見つけてくれる

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