脱走

仮面を着けて語り出す
頭の中散在する
チープな言葉掻き集め
織り上げて

iPhoneがやっぱり無理とか
結婚するならPanasonicねとか
SHARPは信用できるけど冷たそうとか
samsungにご用心とか

Jobsの話してたら
君が笑ってワケもなく嬉しかった
これが幸福なら
ああ僕は君以外愛せそうにない

まるで祭りのように
吸い込まれ狂乱繰り返し
ここがどこかわからなくなるまで
踊り果て迷い込んだ森の奥
大樹と出会いまた恋さ

いいもわるいもすきもきらいもなく
僕は君を見ている
葉の一枚その血脈の巡り方から
枝の先膨らむ蕾の中に
何枚の花弁が春を待っているのかとか
風にざわめくその囁きが
限りなく僕を慰め癒し
どこでもない今へ導いてくれることとか

歴史に解釈は必要なのか?
旅は続いてゆくそれだけなのだ
でも君が今苦しいのなら僕は
何度でも言う「君は悪くない」
責任の所在とは無関係に
あらゆるものの存在を肯定し
(だってそれは確かに存在しているのだから)
そこから始めるのさ
旅なり闘いなり愛なり別れなり何なり

存在するかわかんないもの
同定しようと躍起になる
それこそさあロマンの始まり
僕は君と探してみたいんだ
空の飛び方とか
星の数え方とか
手の繋ぎ方とか
キスの順番とか

脱走兵は銃を撃つのが本当は嫌いだったんだよ
父親に倣って軍へ入ったはいいものの
闘いには向かないんだ
彼は進化していたのだよ
こころが

雷の音聴きながら眠りにつくのも悪くないね
僕は君の独り言が好きだよ
実は一言も聞き漏らさず
薔薇の花弁はポプリになって
パジャマの引き出しに入れてあるんだ

手紙は今でも魔法のように
赤いポストからあなたの手元まで運ばれる
毎日が奇跡みたいに
流れゆく

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