カフェにて

「こっちこっち」
「待った?」
「ううん、今来たとこ」
「うん」
「何?」
「かわいいなって」
「えっいきなり何」
「ふふ、何食べる?」
「ん…サンドイッチ」
「コレ?」
「うん、それ」
「OK」

「ねぇ見て見て」
「何?」
「携帯カバー替えたの!」
「あ、ほんとだ、ピカピカ」
「携帯替えるの大変だから、カバーだけ。でもスッキリした」
「そだね、目につくとこがピカピカになると気分変わるね」
「うん!」

「ねぇ…」
「何?」
「背徳的な関係って純愛だと思う?」
「韓流ドラマにハマったの?」
「冬ソナね…ってちがう!」
「どうしたの?」
「…なんでもない」
「ドラマチックではあると思うけど…純愛かどうかはなんとも」
「そもそも純愛の定義ってなんだろうね」
「辞書を引こう」

「あっ!」
「何どうしたの??」
「これ…グレアタイプの保護シールだった…目が疲れると思ったら…」
「あ、ホントだ」
「ちぇ…」
「ノングレア買いに行く?」
「多分Amazonにしかない…」
「じゃ、それ以上目が痛くならないうちに買いなよ」
「うん」

「辞書引いた!」
「うん」
「純愛…純粋な愛情。ひたむきな愛。ひたむきな愛って何?」
「もっぱらひとつのことだけに心を向けるさま。一途なさま」
「…ふむ。つまり排他的であることが大事なのかな」
「そんなとこだろうな」
「でも純愛物ってライバル絶対出てくるよね?」
「見向きもしなけりゃいいんじゃない?ストーリー上邪魔者は必要だし」
「ふむ…。揺れる心は純愛じゃないのか」
「二人の気持ちがフラフラするのは純愛カテゴリではなさそうだよな。当人達は大真面目に愛し合ってるのに、障害があったり周りが邪魔する、ってのが純愛ものだな」
「つまりロミオとジュリエット」
「そうだな。あれが幼馴染の許嫁が結婚する話だったら何のドラマもない」
「たしかに…」

「ねぇ」
「何?」
「…なんでもない」
「そう」
「ねぇ…」
「何?」
「黒、似合うね」
「そう?ありがとう」
「どうして君は狼狽えないの?」
「君ほど自尊心がねじれてないんだよ」
「私の自尊心ねじれてる?」
「そうだね、今のところ深刻にね」
「えっ…ポンデリングみたいに?」
「ポンデリングねじれてないよね」
「あ、そうだね。じゃあ…私の癖毛ぐらい?」
「君の髪は綺麗だよ」
「嘘つき」
「嘘だよ」
「ひどい!」
「本当だよ」
「ひどい!」

「ねぇ…好意を確認し合った人と会話するのって難しい」
「いつもと変わらないじゃん」
「なんかザワザワする、落ち着かない」
「それは大変だね」
「なんとかして」
「どうして欲しいの?」
「わからない…」
「やれやれ」

「好きだよ」
「ずっと?」
「ずっと、ってどのぐらい?」
「永遠、かなぁ」
「永遠かぁ…永遠に好きでいられたらいいなと思うぐらい今好きだよ」
「それいつか好きじゃなくなるってこと?」
「その可能性ももちろんある」
「…そっか…」
「傷ついた顔しないで。嘘をつきたくないだけなんだよ」
「嘘ついてよ」
「君が世界一好きだ。永遠に、愛してる」
「ふふ…。いいわよ、明日心変わりしても」
「どういうことだよ」
「満たされたの…別に未来なんか欲しくない。今ありったけ愛されたいだけ」
「不安にさせてた?ごめんね」
「不安よ、いつだって。だって、明日なんて誰にもわからないし、人間は計算が出来ないし、人と人は二度とひとつにはなれないから」
「好きだよ」
「知ってる」
「好き?」
「……」


あとがき
軽いものが書きたくなって(∩˘ω˘∩ )♡もうすぐ春なのかなー。

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