隠れ家

“生きていることが不本意だ”
そんな想いを抱えたままで
へらりへらりとかわそうとしていた
我慢なら得意だからと
やり過ごすことにばかり集中していたら
ちっとも愛していないことが
冷たい手でバレてしまった

布団の中でこっそりハムスターを飼うには
驚くほど多くのものが必要だった

暴かれ侵されることにうんざりしたから
海の底に隠れることに決めたんだ
深海魚は暗闇と友達になった
カラフルな羽根も歌ももう必要ない

僕は開いた傷を抱えて
戦場の片隅の廃屋で
身を固くして震えてる子供のままだった
誰かが助けに来ない限り
僕はそこから動けない

隠し扉は釘を打ちつけられ
もう内側から開かない

僕を助ける役なんて
誰が引き受けるだろう
僕がここにいることを
誰も知らないし

孤独が急に押し寄せて

一本のメールを書いた
「たすけて」
返事が届いた
「どこにいますか」
「くらやみのなか」
「何が聞こえますか」
「なにも」
「何か見えますか」
「なにも」
「わかりましたすぐに行きます」

君にはわかるのかしら
どこでもない暗闇の場所
どこに僕が埋まっているか
探す方法なんてあるの

ああ 声を頼りに

明日は恐ろしいものだよ
何もかも吹き飛ばされてしまう
今日あるものはきっと全部
流されてしまう
そんな日々を生きてしまった僕は

ああ 涙の欠片を辿って



あとがき
箱の中に閉じ込められる『リミット』って映画、あれめっちゃ怖いですよね(ㅇㅁㅇ川

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