樹

もし私を守ってくれる人がいたら
私を庇ってくれる人がいたら
私のために怒ってくれる人がいたら
世界がどんなに残酷でも
私はバラバラにならずに済むだろう

誰もがいつか絶望するのかな
私の幸運を妬む人もいるだろう
でも嘘つきに触られるよりマシだ
ひとりぼっちになることは

味方を手に入れたら
コートの陰で眠り続けたい
世界を許せるまで
心がくっつくまで

贅沢なんかじゃない
生きるために必要なこと
それがないと死んでしまうこと
誰も剥ぎ取る権利などないこと

誰かを守るのに必要なのは
強さでも優しさでもない
足場が不安定だと
人を踏み付けて立ちたくなる
しがみついて歩きたくなる

ぬかるみから出て
掴んだ大樹の根
飛び続ける鳥はいない
秘密の小枝の上

こっちだよ
呼ぶ声の方
こうだよと
導かれて
大樹の中で眠る