いつか

戻るべき「いつか」などない
「変わったね」と嘆かれても
君の前にいたその僕が
本当に僕だったのか君にどうして
確かめられるというの?

今本当を語ろうとする僕に
聞きたくないと耳塞いで
何を見てるつもりでいるの
思い出のスクリーンにいるのは
人形みたいに都合のよかった僕だけ

何もかも捨ててしまったら
僕は今どこへ行くだろう
全て幻なんだと知った後で
世界に最初に望むものは何だろう

舗装されたコンクリートの上だけを
カート引きながら歩くような
僕になってどんな心が残るチャップリン
誰に何を求めることももうない

戻りたい「いつか」などない
思い出の登場人物は喋らない
沈黙に僕は安堵する
全て過去になってゆけ
かつて愛だと信じたぬくもりも
いま冷えた体をあたためはしない

続け続け日々よ続け
ひたすらに僕から離れてゆけ
偽りを剥がし始めた僕を
愛せる人がもしいるなら
流せずにいた涙も
声にならなかった言葉も
全部捧げるために
僕は僕を創り始める

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