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デザインレビューで意識してほしい6つのポイント

多くの方にもっとデザインレビューをしてもらいたくて、デザイナー・ディレクター両方の経験と、「みんなではじめるデザイン批評」の本から、実際に行ってみて効果的だったポイントを抽出してまとめてみました。

デザイン批評の本では、批評とレビューを別ものとして扱っていますが、実務的な側面からここでは「レビュー」という1つの行為でまとめています

依頼時に目的とターゲットをきちんと伝える

まずはレビューの前提となる「デザインの依頼」についてのお話です。
ほとんどの依頼が、掲載内容・期間・ビジュアルの指示(前回同様の案件を行なった際の過去事例)のみで構成されているのではないでしょうか。
ルーチンワークとなっているような場合、ややもするとすごく簡素な指示になり、文言差し替えが続いていることもあるでしょう。
そのプロジェクトが何を目的として立ち上がったか、ターゲット、結果として達成するKPIも含めてイシューに記載します。
過去同様の施策をやっていればそのデザインと結果もあると尚良いです。

ターゲット共有が抜けていたせいで、文字が小さめで見た目は良いものの、年配のターゲットユーザーの目には止まりにくく、コンバージョンが低い状態が続いていたケースがありました。案件を繰り返すことで、ターゲットや目的が伝言ゲームで薄れていることもあるので再度確認しましょう。

ターゲットとして体験する

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デザインを見る前にもう一度このデザインが達成する目的とターゲットを思い浮かべてください。そこにたどり着くことがこのレビューのゴールです。
心の準備ができたら、自分を消して、ターゲットになりきった視点で、デザインを体験し、その目的を達成できるか確認してください。

過去の経験の積み重ねで、言葉には出していない確立された判断基準がみなさんあると思います。ここでよく起こりがちなリスクが、レビューをする側の固定概念を基準にレビューされ、結果として目的を達成できなくなってしまうという現象です。ターゲット層が自分と近しい場合でない限り、なかなか自分の目線では気づくことができません。一旦自分を消してフラットにしてから「なりきりレビュー」をしてみてください。なりきりのキャラ設定としては、ペルソナを使うことも有効です。

意図を聞くことからはじめる

目的達成を意識した際に、つまづきそうなポイントや悩んでしまったところなど、違和感を感じた点をまとめておきます。次に、まずどういう意図があってこのデザインになったのか、その経緯を聞きましょう。
意図を聞くことで、デザイナーの視点を認識できます。
場合によっては目的やターゲットを誤解していたり、伝え漏れがあるかもしれません。その上で、改善案を考えてください。

以前ADをやっていたとき、意図を確認せずに修正依頼を出してしまい、修正されたものもこちらの想定とは異なり、ボタンのかけ違いが続いてしまいました。デザイナーは、修正依頼を受けると自分の思いを飲み込んでそのまま手を進めてしまうことがあります。解決方法の視点が異なる場合、そのままそこは修正されないので、結果としてのアウトプットも違う形になってしまいます。デザイナーの視点を認識することが大切です。
人はそれぞれの視点で解決策を考えているので、お互いの考え方を尊重する意味でも聞く癖をつけると円滑に仕事が進められると思います。

よいと感じたデザインについて理由を伝える

レビューは直すべきポイントについて語られることが多いのですが、「よかったデザイン」の部分についてはスルーされがちです。
実はここは双方の認識があっているとても大切な部分。
なぜよかったのかという理由を伝え、共感し合うことで、さらにプロジェクトに対して理解を深め、視点を合わせて協業することができます。
ぜひ、よいと感じたデザインについて理由を伝えてあげてください。

自分のデザインの視点があっているということは自信にもつながります。
実際によかったデザインの共有で、デザイナーのモチベーションも上がり、課題の解決に向け非常にポジティブな傾向が見られました。
組織力をあげる上でも、非常に大きな意味があると思います。

達成したい目的を再度共有し、アイデアを聞く

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次に違和感を感じた改善点に対してのレビューです。
はじめは自分の改善案はグッと抑えて、まず「現状のデザインでは懸念されるポイント」と再度「達成したい目的」を共有し、デザイナーに改善のアイデアを聞いてみてください。
今目の前のデザイナーは自分より全く異なった優れたアイデアを出してくれるかもしれません。そのアイデアがよければそれを採用すれば良いですし、そうでなければご自身の改善案を伝えてください。その上で、改善案をさらにもっとよくするアイデアを聞いてみても良いかもしれません。
意見がわかれてしまったら、ユーザーテストを行うなど第三者に確認してみてもよいでしょう。

組織的にクオリティ管理を握っている部署または職種がある場合、改善案もそこに依存してしまっていることが多いと思います。
最終的な意思決定はもちろんどこかに帰属するべきなのですが、アイデアを出す行為は、広く開かれていた方が効果的です。
アイデアを出しあえる環境の中で、相互作用でさらに新しいアイデアも生まれてきます。

結果をシェアして、次回の改善点をまとめる

せっかく視点をすり合わせて作り上げたものも、リリースしてそのまま終わってしまうと、水が流れっぱなしの状態です。
結果をシェアし、「ふりかえり会」をしましょう。
結果が伴わない場合は、何かの視点が抜けている、そもそも視点が違っている可能性があります。今後の課題のキーとなる部分の抽出や改善のアイデア出しも、デザイナーとともに行えると良いでしょう。
また、関わるメンバー全体の施策への理解が深まり、意思疎通もスムーズになる効果もあります。
担当者が変わっても、次に繋げられる重要な資料となりますので、ぜひふりかえりを忘れずに。

チームとして最高のものができたとしても、結果が伴ってこないと、施策として成功したとは言えません。自社サービスではわりとよく陥りがちなこの状況を打開するには、まず結果を直視し、視点を変えることを怖がらないことが大切です。失敗すること自体は決して悪い事ではありません。
そこから新しい視点を学ぶための良い教材だと思いましょう。

以上です。
ぜひ、積極的にデザインレビューをしてみてください!


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