短歌 床下の小人ごころを知らずして

家びとの寝入りし後に起きいでてまづ仏壇にちさき手合はす

部屋の隅出会ひ頭に鞭のごと触角上下に揺らすごきぶり

はしご状のあみだくじめくカーテンのレースを攀ぢてあらぬ方へと

寝返りを打たるるたびにだるまさんがころんだのごとじつとしてゐる

縫ひぐるみを抱いて寝る子のさびしさを着ぐるみとして受けとめる夜

厨辺の下をねぐらとせし小人明けそむるころまどろみにけり

床うへのいさかひは頭(づ)に伝ひゐて茨の声に耳を塞げり