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STAY KOBE《02》ケシパールの魔法

街と人の絵を描くイラスト作家・こもりあやみが「色々あって神戸に住むのは難しいけど、それでも時間さえあれば神戸を歩きたい」という気持ちで始めたnoteマガジン「STAY KOBE」です。神戸にいる人、神戸にいた人、神戸に行きたいけど行けない人に「今の神戸」をお届けします。(不定期更新)

神戸の中心部・三宮から歩いて10分ほど。
JR三ノ宮駅の南東「磯上(いそがみ)エリア」と呼ばれる場所にそのカフェはあります。

「カフェケシパール&ケシパルーフ」。

何種類ものチーズケーキと選んだケーキに合わせたコーヒーを出してくれることで有名なお店です。

1号店の「ケシパール」は9階建てビルの2階。
2号店の「ケシパルーフ」は同じ建物の最上階にあります。
お店曰く「はなれ」的な存在でメニューは1号店と同じだとか。

昨年4月に1号店が10周年を迎え(2号店は5周年)、昨年にはJR神戸駅付近に3号店「ケシパールスタンド」をオープン。
カフェ激戦区とも呼ばれる神戸、ましてこのコロナ禍で人気を保つのはそう簡単なことではありません。

1号店の入口

昨年9月のことです。

緊急事態宣言が明けそうな休日の昼下がり、ふらりと入った1号店の窓辺の席でわたしは不思議な感覚を味わいました。
秋晴れの陽射しに透き通る琥珀色のグラス、口当たりのなめらかなチーズケーキとそれをぐっと引き立てるコーヒーの味。あたたかみのある石の器。
店員さんの親切な声かけと、聞いててわくわくするようなコーヒーの説明。
薄暗い店の中で本を読む人、静かに時間を過ごす人。中には談笑する人たちもいるけど、こちらの気にならないほどの小さな話し声でリズムさえ心地いい。

定番のベイクドチーズケーキ

まるく閉じられた空間で、わたしは考えるのではなく心のままに感じました。
そうだ。
こんな風にカフェでゆっくり過ごしたのはいつぶりだろう、と。
目まぐるしい日常で長らく忘れかけていた「一服する」という感覚。それが、お湯を注がれたフリーズドライのようにじんわりと蘇っていくのが分かりました。
大げさでなく、ひとつの美しい音楽を辿ったような、ぐっすりと眠った後のような充実感がありました。

一杯のコーヒーが感動を呼ぶことって本当にあるんだ、と思いました。

コロナ禍で心身ズタボロじゃなければこんなに身に染みることもなかったのかもしれません。
でもあの時過ごした「ケシパール」でのひとときは、確かにわたしのその後を変えました。

帰り道の歩道橋から見た三宮

まずインスタの更新。一年弱も放置してたアプリを開いて少しずつ投稿するようになりました。
「ケシパール」だけじゃない、この長い辛抱の時期をくぐり抜けようとしてる神戸の姿を一枚でも多く写真で伝えたい。
誰に頼まれたわけでもないし前から決めてたことでもない、自分でもよくわからない沸々した気持ち。
その延長に「STAY KOBE」があることを考えると、このマガジンを立ち上げるきっかけになったのが「ケシパール」ということになります。

わたしは「ケシパールの魔法」にかかったんだと思います。

2号店の入口

こないだ2号店の「ケシパルーフ」に行きました。薄暗くて落ち着く1号店とは違って少し明るめの雰囲気。一人でも二人以上でも楽しめる場所です。

練乳のレアチーズケーキ
窓辺の席でゆったり

去年のオープン直後に行った3号店の「ケシパールスタンド」は、その名の通り立ち寄りやすい今どきのお店。ガレージの中のような店内で焼き菓子と飲み物を楽しめます。
もちろんテイクアウトもOK。仕事帰りや散歩のセーブポイントにもぴったりの場所です。

3号店は湊川神社の近く
マフィンとミルクティー

「ケシパール」は希少性の高い天然の真珠という意味だそうです。

石言葉は「ひとときの休息」。

3つの場所でそれぞれの輝きを放つ「ケシパール」は、わたしの大切なオアシス。あたたかいコーヒーとやさしい味のお菓子が、ギザギザの心を丸く磨いてくれるのです。

日々の徒然ツイッター(お知らせはこちらで) ayami_setron 

最近更新をがんばってるインスタ ayami_littleport 

ではまた神戸で会いましょう。