STAY KOBE《14》塩屋に呼ばれた日
塩屋がわたしを呼んでる、としか思えない日が一年に何度かあります。イベントがあるわけでも、期間限定の何かがあるわけでもない。でも、心がどうしようもなく塩屋の方に向いてる。塩屋が引き付けるのか、無意識にわたしが塩屋を求めてるのか、こうなると他の場所のことは考えられなくなります。
居てもたってもいられないわたしは、「今日はもうそういう日なんだな」と思うことにして大人しく塩屋に出かけます。ヒールじゃなくてスニーカー。坂道の街の必需品です。
(おことわり)
この記事は本来3月にお届けする予定でした。更新する前に大事な人との永別があり、記事を仕上げられずそのままにしておりました。遅くなりましたが、色々考えた末に加筆してアップすることにしました。写真は2月下旬のものです。
乗り換え地点のJR須磨駅。塩屋への旅の入口です。
電車のドアが開いた途端ぶわっと薫る潮風。
「帰ってきたなー」と思います。春の始まりを感じさせる淡い空の色。
ご存知の人も多いと思いますが塩屋の駅前は車が通れないのです。細い道をくぐるようにして歩くのがここの醍醐味。
子どもの頃からなんにも変わらない路地裏の風景。
オーブン以来たちまち有名になった「Ryu Cafe」。台湾茶とスイーツのお店です。営業時間前で誰もいません。ひっそりとした佇まい。
ここの写真を撮った数日後、冒頭に書いた故人からLINEが来ました。亡くなる一ヶ月くらい前の話です。カフェのURLとともに「身体が治ったらここ行ってみたいんだよね」と。あんまり自分から「ここ行きたい」って言わない人だったんです。よっぽど気になってたんでしょうね。一緒に行く約束は叶わなくなってしまいました。
たぶん、今年の夏にわたし一人でひっそりと行くことになるんじゃないかと思います。
ミニコープと塩屋川。初夏にはこいのぼりが泳ぎます。
さて、がんがん坂を登っていきますよ。
坂っていうか崖なんじゃないかと思うくらいの傾斜。
酒屋さんをリノベーションした「heso.」に着きました。服、雑貨、お花が並ぶ新しいコミュニティスペース。2階の部分は2月末の時点では工事中みたいでした。といってもプレオープンのような感じで2階の空いてる場所でいろんなイベントが開かれるみたい。
先日映画にもなった旧グッゲンハイム邸。そしてその隣にある旧後藤邸。
海の見える国道を歩きます。
すれ違う山陽電車。
まるで自分が風景の中心にいるかのような感覚。
踏み切りを渡ると、目の前にそびえる急な階段。境ヶ丘ってのは摂津と播磨の境目ってことなのかな。
振り返ると。
波の音、踏み切りの音、電車が通る音。
懐かしさを感じます。ここは初めてのはずなのに。
え。あ、はい。
この階段を登るんですか……そうですか……。
まだまだ。
もうすぐ。
着きました。
こんな風景が広がってました。実際の海はこの写真の百倍輝いてたと思います。
肉眼でしか見れない景色。
知らなかったなぁ。地元なのに。
お昼は塩屋駅前の「サーチ」さんへ。
パスタセットを注文しました。
内装もおしゃれで過ごしやすい雰囲気でした。
贅沢なひととき。
塩屋ののんびりとした空気、伝わったでしょうか。
梅雨が明けたらもう7月。日中は暑くて出かけられそうにありません。真夏の間は夕方か夜の撮影にしようかなぁ、なんて考えてるところです。
この連載も次でなんと15回目。いつもありがとうございます。ここまで来れたのも皆様の応援のおかげ。引き続きよろしくお願いします。
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ではまた神戸で会いましょう。