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『54文字の物語』作品まとめ

はじめに

「54文字の物語」とは、SNSで話題の超短編小説です。
9マス×6行の原稿用紙に、ひとつの物語を紡ぎます。
54文字と短いので、1つの作品を読むのに時間がかからず手軽です。
一方、制作するとなると、ムダを省き、アイデアを簡潔に収めないといけないので大変です。

このnoteでは、私が過去に制作した作品を備忘録として並べておきます。

作品一覧

①「うわ。」

【解説】
「うわ。」という感嘆詞から始まるこの文では、「主人公」は繰り返される何かの言葉に不満を抱いているようです。「(私が)やめてと願っても(言葉を発している人は)絶対にやめない」と読めます。
そして、最後まで読むと文尾と文頭がつながることが分かります。
すると、文章が同じであるにも関わらず読み手が「言われている人」から「言っている人」に変わり、1周目とは異なる読み方、「(あなたが)やめてと願っても(言葉を発している私は)絶対にやめない」となります。
ループした際の話者が変わるギミックでした。

②兄が遺した時限爆弾

【解説】
部屋の隅を現実的に見ることはかなわないので「原稿用紙の隅」を見ます。左上に「口」、右上に「兄」、左下に「言」、右下に「且」。並べると「口兄言且」→「呪詛(じゅそ)」となり、これに気づいた瞬間に呪われてしまう(=時限式の爆弾が発動する)というお話でした。
読み解いていただき、お憑かれさまでした。

③重大事件

【解説】
「被害者の数に対して、押収物はその4倍だった」とあることと、「世の耳目を集める重大事件」とあることから、「少年が世の耳目を集めた」というのは、(慣用句としては「人々の注目を集める」という意味ですが、)少年が文字通り「両目と両耳」を集めていたのでした。

④結婚式

【解説】
新郎新婦のそれぞれの物語(原稿用紙)の表面同士をくっつける形で重ねると「唇」という字が重なります。この状態で「2つの文章で同じ文字が入っている部分」を順に拾うと「エターナルラブ」という単語ができます。

⑤訪れるのは快報か……

【解説】
2020年3月末の作品です。
新型コロナウイルス感染症の関係で、初めて緊急事態宣言が出された時期です。コロナにより様々なイベントが中止や延期となる中で、自粛やマスク着用を嫌がる高齢者が話題になりました。東京オリンピックの勢い・気炎(聖火の「火」も掛けています)もむなしく延期となりました。そんな中、政府や地方自治体は明確な方針や対策を打ち出せず、ただただお願いベースの自制を求めるのみでした。皆が不安や不満を抱える、そんな時勢でした。
私自身、楽しみにしていた様々な予定が中止となり、やり場のない怒りを感じ、この作品に昇華させた感じです。

さて、文章を読むと、
・「有事(ゆうじ)により「自由(じゆう)」が消え
・「老人(ろうじん)」が「人狼(じんろう)」に
・「気炎(きえん)」も「延期(えんき)」となる
・「政治(せいじ)」は「自制(じせい)」を求めるのみ
というように、ある二字熟語(例えば「有事(ゆうじ)」)に対して、
その読み方が前後ひっくり返った別の二字熟語(「有事(ゆうじ)」の2つ漢字を逆にすると「事有(じゆう)→自由」)が出てきます。
物語の最後は「快報(かいほう)」で終わっているので、推測されるもう1つの言葉は「ほうかい」、つまり「崩壊」です。

⑥エライ人の会見内容

【解説】
2020年4月3日の作品です。
⑤と1週間くらいしか違わないので、時勢は同じです。
会見でカタカナ単語を並べ、満員電車の通勤時における感染の危険性は何も言及せず、どんどん娯楽が潰されていく状況に腹を立てて作りました。
一番下の行に、私の一言が隠れています。

⑦未来君

【解説】
「54文字の物語」の原稿用紙は9文字×6列(9×6と右下に記載あり)ですが、文頭で未来君が使う用紙は6×9とあるので、この文章全体を6文字×9列で書き直します。「結果が下に」とあるので、一番下(つまり6の倍数番目の文字)を順に拾うと「十分後に君はしぬ。」となります。

おわりに


いかがでしたでしょうか。
少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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