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#40 瀬戸染付の企画展

 何度も書いていますが、瀬戸の土はきめ細かく白い、そしてその土のおかげで陶器と磁器の両方を生産する稀有な産地です。
 10月5日から始まった「瀬戸染付 ー軌跡そして技と美ー」を瀬戸市美術館で見てきました(11月24日まで)。

 なんとなく瀬戸の焼き物というと織部や志野や黄瀬戸などのイメージで「染付?」……という方もいるかも知れません。江戸時代(19世紀初め)に始まり現代に続く歴史があり、伝統工芸品「瀬戸染付焼」として指定も受けています。九州の磁器に比べると呉須の発色と筆使いは柔らかで、そして素地は陶器ベースなので形も比較的自由な感じでしょうか。

形、自由でしょ

 今回の展示は初期の染付から時代に沿って展開されています。
 第一章として、九州で盛んになった磁器生産に対して瀬戸でも磁器を生産しようと研究が始まり、加藤民吉の九州修行によりもたらされた技術によって完成されるまでが展示されています。
 確かに初期の瀬戸染付はなんとなく何かが足りない雰囲気があり、民吉によって最後の技術的なピースがもたらされた感じを受けます。民吉の修行以降は明らかに大きな変化が見えます。やっぱり民吉の修行は重要。
 民吉の修行については以前書いています。

 第二章は幕末に向けて瀬戸染付の発展が展示されています。当時の名工たちの作品が展示されています。続く第三章は明治に入り尾張藩の保護や統制がなくなり自由な競争の中で技術もデザインも高められていく時代の展示となります(昭和中期頃まで)。明らかに時代が変わり作品も大きな変化が感じさせます。

最後の展示室 とにかく迫力ある

 で、第四章の最後の展示室。ここがすごい。特別展示として皇室所蔵の瀬戸染付の盆器(大きな盆栽鉢や水盤)が7点(と言っても対になっているものもあるのでもっと多い点数)展示されています。サイズ(大きいよ!)も細かな装飾もものすごい迫力です。あまり見る機会がないものなので驚きでした。江戸後期から明治期のものなので瀬戸染付のピークの時期かもしれません。正直(個人の感想ですけど)この展示室だけでも見に行く価値があると思いました。「宮内庁の格別なるご協力のもと」による特別な展示だそうですのでこれは見ておいてほしいところ。

 ここで展示は終わるのですが昭和中期以降ももちろん瀬戸の染付は作り続けられているわけで、この展示の先にある現代の作家たちの作品も見てみたいと思いつつ帰ってきました。もう一部屋、展示の続きがあってもよかった。
(撮影はほとんど禁止はなく、SNSにぜひぜひという展示です)

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