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さんぽのススメ〜小さな思い出とおしゃべりする

コロナさんの影響でテレワーク!在宅ワーク!と叫ばれる前から、土日はカフェ勤務・平日は在宅作業の多い生活でした。

そんな中、昨年腰を痛めてしまい、通った整体で「1日15分の散歩」をオススメされまして。できる範囲でゆるゆると散歩を続けています。

たぶん慣れたらすっかり忘れてしまう、「散歩を味わう」ようになって感じてきたことの記録です。

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まず両手が空いた状態で歩けることが、なんだかむずがゆくて新鮮。

無駄に大きく手を振って歩いてみたり。ラジオ体操よろしく歩きながら深呼吸したり。

もし歩くのが夕方なら、くんくんと空気の匂いを嗅ぐのもすきです。

カレーとか、煮物とか、晩ごはんの香りは幸せの香り。

特にあてもなく、目的地を持たずに歩くのも不思議な心地です。

あの公園にいってみようかな。あの小道をたどってみようかな。

一本普段と違う通りを歩いたら、見える景色は全く違う。

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ちなみに私、いま生まれ育った町に住んでいるので、生まれてこのかた何度も何度も何度も繰り返し歩いた道を散歩するんですけど、不思議に飽きないんですよね。

むしろ最近歩いてると、小さな頃そこであったことがふと思い出されたりして、目に見えないアルバムをめくっているような、なつかしい気分になるんです。


たとえば、国道から一本入った、ぎりぎり大人がすれちがえるかなくらいのほそーい小道を歩いていた時のこと。

「そういえば、この道の壁に落書きがあったな」と思い出しました。

たぶん、この記憶は集団登校をしていた頃のものなので、小学校低学年くらいだったのかな。まだ硬くて大きなランドセルを背負って、上級生の背中に頑張ってついていく学校への通学路。

とはいえ常に注意力散漫でいろいろ周りを見回してたんでしょうね。ある日歩いていて右側にある壁に落書きを見つけました。

壁の落書きはこうです。

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(ここ思い出して絵で再現するところなんですが、こないだまだ残っているのを発見しまして)
(20年以上前の落書きが今も残っていることに驚きを隠せない…)

なんて書いてあるように見えます?

若干パイプに隠れてるんですけど、たぶん、「みねふじこ」って書いてあるんです。

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これを書いたひとがあのセクシーなキャラクターにどんな想いを寄せていたのかを想像するのもちょっとおもしろいんですが、思い出していて不思議な気持ちになったのが、

私この言葉の意味が当時まったくわからなかったんですよね。

ルパン三世の存在も知らなければ、ちょっと崩れたひらがなを読みこむ言語能力もたぶんなかった。

毎日毎日、「これはだれかの残した暗号だ」「だいいんぐメッセージだ(コナンは毎週欠かさず見てた)」「たぶんあいうえお作文をうまいことしたら謎がとけるはずだ」「おとなが見つけて消してしまう前にかいどくしなければ」と同級生と一生懸命コソコソ話をしながらその壁の前を通りました。

そのうち集団登校もなくなって、学年も上がって、いつのまにか落書きのことも忘れて、大人になって、今にいたるんですが。


いやあ、「みねふじこ」かあ、と。笑

読めるようになってしまった自分の”成長”をちょっと残念に思ってしまうような、読めなかった自分が繰り広げた、たった五文字の落書きからのワクワクする冒険が恋しいような。

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不安なことがつづいて心がぎゅっとなるし、

何が正解かわからずに途方にくれてしまうし、

”世界”はパソコンやスマホの画面の向こう側にあるような気がしてかじりついてしまう日々ですが、

少し顔を上げて、(ほかの人に接触しないように気をつけながら)外の景色を覗いてみることもきっと大事。


ああ、春はいつも通り来てたんだなって。

変わらないものはたくさんあるのに、私はこんなに変わってしまったんだなあ、変わってきたんだなあって、自分の思い出とおしゃべりしてみるのも、たまにはいいものだと思うのです。


おしまい

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