桜の花を拾う女の子と、怒鳴るお父さん


こんにちは。経営ジャーナリスト・中小企業診断士の瀬戸川礼子です。
東京の桜はすっかり満開!🌸
デスクワークの合間にちょこちょこお花見しています。

そんな季節、ちくっと胸が痛む場面に遭遇しました。

桜の大木の下で、小2くらいの女の子が、
地面に落ちた桜の花を拾っていました。

その日は風が強かったので、
きれいな花の状態のまま、たくさん落ちていたんです。

わかるわかる、拾いたくなるよね~。

私は落ちた桜の写真を撮ろうと近づいていきました。


すると、女の子のお父さんの姿が見えました。
少し離れたところから、
自転車にまたがったまま、女の子の様子を眺めています。

間もなく、大声で言い始めました。

「そこじゃないよ」
「ちがうって!」
「だから、そこじゃないって!」
「ここ! ここだよ。ここ。下に落ちたのは汚いでしょ」
「ここだって言ってんのに!ここにあるでしょ。もっときれいなのが。
 なんでわからないの!」

言葉がどんどん荒っぽくなっていきます。

お父さんが言っているのは、地面に落ちた花ではなく、
自分の横にある生垣の上に落ちた花のことです。

でも、「ここ」としか言わないので、
離れた場所にいる女の子は「ここ」がどこなのか分かりません。
視界の高さも違います。


地面に落ちた花も十分、きれいなので、
女の子は自分の視界に入る花を拾い上げるのですが、

お父さんは大声で「ちがうよ!」と言い続ける。


女の子は、桜の花をこれ以上、拾うのを止め、
お父さんと一緒に帰って行きました。

~  ~  ~

桜の花を拾う、愛でるー-。

この日はせっかく、
「お父さんと一緒に桜の花を拾った」という
思い出がつくれたかもしれなかったのに、

お父さんは自転車から降りることなく、
離れた場所から、怒って指示し続けた。


……会社じゃないんだよ。


っていうか、
いい会社だったら、大人同士だって、そんなことしないんだよ。


画像1


私が、働く人が幸せな「いい会社」が増えることを願うのは、
この女の子とお父さんのような場面が
一つでも減ってほしいという思いもあるからです。

お父さんは、仕事の大きなストレスと闘っているとき
だったのかもしれません。お父さんも大変ですよね。
でも、相手は子ども。なんでも吸収します。

あのお父さんのことは何も知りません。
社員なのか、パートなのか、社長なのか、失業中か、わかりません。

でも、社員であっても社長であっても、
もし、心豊かに、幸せに働き生きていたら、
あんなことはしなかったんじゃないか……。


自転車を降りて、
娘と一緒に桜の花を拾って、
「ここにもあるよ」
「きれいだね」
「家に帰って飾ろうね」
「たくさん集まったね」って
微笑み合う時間にできたんじゃないか。


女の子が大きくなって
いい思い出としてよみがえったかもしれない。

お父さんがおじいさんになって、
幸せな思い出として宝物になったかもしれない。


でも、そういう時間にはならなかった。
子どもって親が好きだから、
女の子は不機嫌なお父さんに忖度して、花拾いをやめた。

小さな後ろ姿を眺めながら
この日の桜が悲しい思い出になりませんように、と祈りました。

画像2


幸せに働き生きる人が世の中に増えたら、
きっと幸せな場面が増えて、
きっと幸せな思い出も増える。

桜の花を拾う女の子と怒鳴るお父さんを見て、
幸せに働き生きることの大切さを改めて強く思ったのです。

画像3


この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?