枯らさないため知っていたい光合成の話
もし室内で草花を育てることができれば
暮らしの中でより身近に自然を楽しむことができます。
植物が光合成をおこなって栄養分を作るには 光 と 風 と 水 が必要です。
植物工場の研究が進みLEDの人工の光による光合成で植物を室内で育てることができる時代になっています。
今回は 光合成の仕組み をわかりやすく説明してみたいと思います。
光合成の仕組みを知ることで草花や盆栽を枯らさずにすむかもしれません。
光合成のしくみ
葉の断面を簡単な図で表してみます。
主に葉の裏側にある気孔から空気と水蒸気が出入りしています。
光合成は葉の中の葉緑体の葉緑素が光のエネルギーを吸収して始まります。
光合成とは?
光合成は葉の裏にある気孔から取り入れた二酸化炭素と根から吸い上げた
水を化学反応させることでブドウ糖(グルコース)と酸素と水に再構成する
作業なのです。
化学式
二酸化炭素+ 水 → ブドウ糖 + 水 + 酸素
6CO2 +12H2O → 6C12H6O + 6H2O + 6O2
蒸散とは?
光合成に使用さえた水が水蒸気となって気孔から大気中へ放出されることを
蒸散と呼びます。
蒸散には2つの大きな役割があります。
ひとつ目は
強い陽射しを受けると葉の温度はどんどん熱くなって枯れてしまいます。
葉から水分が蒸発するときの気化熱で葉は温度調整を行っています。
ふたつ目は
葉から水が蒸発することで葉は根から新しい水を吸い上げ継続的に光合成をおこなうことができます。
水を土の中から葉へと運ぶ力は葉からの水分の蒸散による作用だけでなく、根から吸収した水を浸透圧によって茎へと押し上げる力が作用していて、根と葉が協力しあって光合成に必要な水をくみ上げているです。
植物が水を吸い上げる仕組み
根から吸収された水は、葉から水分が蒸散することによる浸透圧で
吸い上げられ、根から幹、枝から葉へと維管束を通して運ばれます。
維管束
維管束には葉に水を運ぶ道管と根に養分を運ぶ師管が入っています。
葉の中の維管束は葉脈とも呼ばれ外部からも観察することができます。
その後のブドウ糖
ブドウ糖はセルロースやデンプンの原料となり植物の成長に使われます。
光合成は炭素を固定する反応なので植物が枯れて腐敗したり、
燃やされたりする過程で二酸化炭素は再び大気に戻っていきます。
光合成の3要素
光合成の3要素は光と水と二酸化炭素ですが植物が光合成をおこなうにはまだ不十分です。
大気中に0.03~0.04%ほどしかない二酸化炭素を葉に供給するには気流すなわち風が不可欠です。
水を根から葉に運ぶために必要な水蒸気の蒸散も風がないと停滞します。
葉の周辺に水蒸気がとどまっていては蒸散が進まず、カビや細菌が繁殖して病気の発生要因にもなってしまいます。
光と風と水が光合成を行うために必要な3要素と考えています。
ほとんどの植物の育て方の説明に風通しのいいところに植物を置くように記載されていることとも一致します。
植物の成長速度と風速の関係
風は強すぎても植物は乾燥して弱ってしまいます。
エアコンや扇風機の風は植物にとって強すぎるため室内で育てる場合は風があたらない場所に置く必要があります。
ではどのくらいの強さの風が植物の成長に適しているのでしょうか?
植物の生育速度と気流の関係は植物工場の開発を通して研究が進んでおり
植物の成長を早くするには30~60cm/秒の範囲の風が適していると
考えられています。
しかし成長速度が速くなれば水はもちろん養分の消費量も増加します。
植物鑑賞スタンドの風速
植物鑑賞スタンド風薫は植物工場のように植物を早く大きく育てる事が目的ではなく植物が自然に成長できる環境を提供することを目標として制作しており風速は水の消費量や生育速度とのバランスを考慮し10~30cm/秒となっています。
あとがき
光合成は多くの研究者によって研究されていますが、植物を超える光合成の仕組みをいまだに人工的に造りだすことができません。
人工的に光合成をおこない水を水素と酸素に分解できる日がくれば21世紀の科学技術は大きく進歩するのではないでしょうか
悠久の歴史をもつ植物から人類が学ぶ事はまだまだたくさんありそうです。
人と植物が共に暮らせる環境を創造する。
SETo研究所の課題です。