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漫画と絵画の境界:葬送のフリーレンが紡ぐ、静かなる絵画の調べ

要約: 漫画「葬送のフリーレン」には、漫画と絵画の境界を越えた何かが広がっています。主人公のエルフ、フリーレンと共に紡がれる物語には、静寂な絵画のような表現があり、新たな漫画体験を生んでいるのです。

 こんにちは、はるかなです。今回は、私が最近感動した漫画『葬送のフリーレン』に焦点を当て、その漫画的表現を超えた、独特の魅力についてお話ししたいと思います。
この作品は、漫画と絵画の境界を意識してしまう表現があるな、と感じさせられた一冊です。

初めてこの漫画を読んだ瞬間に感じたことは、漫画的面白さよりも、まるで絵画のような表現だな、ということでした。
コマの1つが1つが、非常にゆっくりとした表現で描かれているのです。
漫画はテンポも大事だと思っていたので、最初は驚きました。
主人公であるフリーレンは、長寿であるエルフ種の中でも特に長い人生を歩み、人間とは異なる時間の流れや感覚を持っています。
最初はこれらの時間感覚の表現だと思いましたが、実際にページをめくってみると、ページのコマ1つ1つがまるで切り取られた絵画のような表現が多いな、と感じたのです。

漫画は通常、前後のコマやページを連続して読むことで物語が進んでいき、その中で、漫画特有の小気味良いテンポやリズムが生まれます。
百聞は一見に如かず、みたいなものでしょうか。

一方で、絵画や美術作品はその一枚一枚が独立しており、観賞者はその絵に込められた思いや背景を自ら想像することが求められます。
これらは異なる表現方法であり、漫画と絵画は違うものだと考えていました。

しかし、「葬送のフリーレン」を読んでその考えが変わりました。
ページごとに、コマごとに独立した美しい絵画かな、と思わせる表現で書かれており、それが次々と繋がって物語を紡いでいくのです。
読み進める内に、読者は静寂な美術館で絵画を鑑賞するような表現に引き込まれていきます。

私自身、これまでに漫画をおおよそ250タイトル、3,000冊ほど読んできましたが、「葬送のフリーレン」を読んで初めてこのような感覚になりました。

この作品は、物語を進めるだけでなく、読者に芸術的な感動をもたらす傑作だと感じました。静かな美しさと共に進む物語は、読者を異次元の世界へ誘い、漫画が持つ可能性を広げてくれる一冊です。

葬送のフリーレンは、漫画と絵画の境界を越え、静寂な美を紡いでいます。絵画的な表現が新しい漫画の体験をもたらし、これからも新しい形の漫画作品として広がっていくことでしょう。
漫画好きならぜひ手に取って、その美しい世界に触れてみてください。
それでは、次回の更新でお会いしましょう。

※おすすめの絵画作品を1つ紹介します。
女性画家の自画像になります。以下解説引用
カペはリヨンに生まれパリで活躍したフランスの女性画家で、本作は22歳の時の自画像です。デッサン用のチョークホルダーを片手に画架の前に立ち、晴れやかなまなざしでこちらを見つめるその姿には、自信に満ちた若い作者の初々しい面影が見事に捉えられています。胸元の大胆に開いた青いサテンのドレスは当時の流行の衣装で、髪にあしらった青いリボンと相まってロココの華やぎを伝えています。  18世紀後半は、職業画家として成功した女性画家を多数輩出しましたが、カペもその一人です。彼女はサロン(官展)に参加した最初の女性画家の一人となり、肖像画の名手として高い評価を築きました。(出典: 展示室作品解説パネル)


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