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【暗めSS】全てを飲み込んで
12月。冬の深夜の海は凍える寒さに、冷たい潮風が吹いて、居るに耐えられない。
厚い曇り空に、荒れた波が立つ。視界いっぱいにある海はどこまで広がっているのか、大して気にならない疑問を俺は浮かべていた。
海とは砂浜を挟んで、堤防の天端に座っている。コンクリートは、10度より低い気温のせいで氷のように冷えている。触って安心する俺はおかしいのかもしれない。背後にはフェンスはなく、歩道と車道が通っている。時折、車のエンジン音が耳に響いて五月蠅い。
黒のPコートを着て、体を温めている俺は、何もせずに水平線を眺めている。首元の襟が海風に揺れてくすぐったい。寒さを誤魔化すため、足をばたつかせてみるが効果はない。それでも、意味のないことをしたかった。ここにいられないと思ったから。
「なぁ。俺は、どうしたらいいと思う」
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