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歳を重ねたからこそできる程よい距離感の友だち付き合いが分かる1冊

書評ブログVol.60

瀬田かおるが読了した本について感じたことをお伝えする「インクの匂い」。久々の更新となります。

60冊目となるのは、イラストレーターseko kosekoさんの著書『マダムたちのルームシェア」です。SNSで多くの人に読まれ書籍化されたようです。

『マダムたちのルームシェア』著者 seko koseko(発行KADOKAWA)

この本を読んでいちばんに感じたのは、年齢に応じた友だちとの付き合い方があるんだなということ。

若いころは休日のたびに会う友だちがいたし、そもそも休日は「友だちと会う日」になっていました。

だけど、人生も後半戦を迎えると過ぎ去るスピードが加速しているみたいに、日々はあっという間に過ぎ去っていきます。

仕事をし、家事をこなし、休日には叶えたい夢に向かって活動をしている人もいるでしょう。そしてふと気づきます。「そう言えば最近友だちと会っていないな」って。

歳を重ねると、たまにできたスキマ時間には誰かと会うよりひとりでボーッとしていたい。そんな思いにかられます。

わたしなど、ひとりの時間がないと辛くなっちゃうので、この本が女性3人のルームシェアのお話しだと知ったとき、気疲れしないのかな……と思ったのが正直なところです。

離婚歴のあるマダム。独身のマダム。ご主人に先立たれたマダム。この人生後半を生きる3人の女性たちの生活がマンガ仕立てで書かれているこちらの本。

読み進めると、こんな距離感なら気疲れはしないかもしれないと次第に思うようになりました。

だけどこの距離感は若いときには掴めないものかも知れません。

若い時ってとかく「何でも話して、何でも一緒に行動する」のが「友だち」と思うフシがあります。

けれど、歳を重ねるにつれ、要所要所で必要なときに存在を感じられるような付き合い方で満たされるんですよね。

それはきっと、大なり小なりその人なりに色々な経験をして「自分軸」ができたからこそできる友だちとの距離感なのですよね。

この本の最後の方で、2人の女友だちと同居することに踏み切れず悩んでいる晴子に対し、沙苗は何が不安なのか聞くこともなく、ルームシェアの楽しさを語るわけでもないのに、晴子の考える時間を尊重しながら、影からそっとフォローするんですけど、これがまたカッコイイ!んです。

こんな行動ができるのは、やっぱり歳を重ねてできた「自分軸」があるからではないかと。

そんなことを考えることができた『マダムたちのルームシェア』。この本は特にアラフィフ女子にオススメしたい1冊です。

人生後半は、友だち付き合いに対しても力の抜き加減が分かるお年頃なのかもしれません。

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