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第18回:お絵描きノート(7):カモン、家紋、かも寝む

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第18回:お絵描きノート(7):カモン、家紋、かも寝む

お題: 柿下人麻呂

柿下人麻呂の人物画と和歌を一首

口上

新しいツールを見つけると何とかして使うのによい機会がないかといろいろ思案します。結果、対称描画ツールは家紋を描くのに都合の良いツールではないかと思いました。特に直線的な図形ではない曲線の多い図案の家紋の描画に良さそうです。
 
今回の画題は平安時代の三十六歌人のひとりとして名高い柿下人麻呂です。万葉集の一首で「あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む」という和歌が、私でも知っているくらい有名です。

 そのように有名な歌人の柿下人麻呂の人物画が描かれた木版画には、人麻呂の着物の柄が「八藤(やつふじ)」の丸紋であると記述が残っているそうです。オリジナルの人物画では少しかすれてはっきりしないようですが、改めて八藤の丸紋の家紋を探してみたら、なかなか複雑で8つの藤の花が丸の中に上下左右対称に繰り返す文様であると分かりました。
 この紋様を上下と左右対称描画ツールを使ってトレースします。そして、その図案からカスタムパターンを作成して、最後に#透過マスクを使って着物の上衣の柄として描画します。

使用するツール:
 ・線描:
  ①ブラシツール + ②補助線ツール(#スプライン)
  ③ 直線ツール
 
 ・塗り
  ④ 魔法の杖ツール(選択ツール)+ ⑤ 塗りつぶしツール
 ・文様:
  ⓵ ブラシツール + ⑥ 左右対称描画ツール + ⑦ 上下対称描画ツール
 ・着物の柄:
  ⑤ 塗りつぶしツール +#パターン +#透過マスク
 ・背景:
  ⓵ ブラシツール + #テクスチャー

作業手順:
1.線描画を描きます。
⓵ブラシツールと②直線ツールと③補助線ツールを使って原画を元に線描画を描きます。
2.線描画に塗る色を決めます。ここでは日本の伝統的な色から選んでいます。

柿下人麻呂の人物画の線描画

3.➃魔法の杖ツールで塗りつぶしの領域を選択してと⑤の塗りつぶしツール各部分を色を塗ります。なお、キャンバス上の色をスポイトツールで見本の色を抽出することで描画色を決めることも出来ます。最初に使う色を決めていた方が能率的です。
 また、一度色を決めて塗っても気にいらないこともよくありますので、線描画のレイヤーとそれぞれの塗りの色ごとにレイヤーは別にしています。そうすることで、色の差し替えがしやすいようになりますし、各色のアルファ度(不透明度)を変えて色合いを微妙に薄くすることもできます。

柿下人麻呂の人物画を着色したもの

4.八藤丸紋の文様のパターンを作成します。まず、新規ドキュメントを作成します。文様の柄が大きいのでサイズは1000x1000pxの正方形のキャンバスを用意します。

5.文様の原画をキャンバスの中央に配置しますが、正確に配置するためには原画を変形ツールで選択してから、ツールのオプションの画面で位置の欄にマークが入っているのを確認してからx座標:500とy座標:500と入力して中央の配置します。その上で、実際の画像が中央にくるようにxとy座標を上下させて微調整してください。
 なお、原画のサイズを変更したい場合も変形ツールで選択してからツールのオプションで「スケール」の欄にマークを入れると%の数値入力で変更できます。ここで忘れてならないのは、縦横の比を固定する「鎖のマーク」のところを[左クリック]して置くことです。

6.原画のサイズを適度な大きさに変更してから、不透明度を50%に下げて編集不可のロックを掛けます。それから、新しいペイントレイヤーでこれからの作業を続けます。
 
7.⑥左右対称描画ツールと⑦上下対称描画ツールを稼働させます。それらのツールはキャンバス上にそれぞれ左右と上下に分ける点線を表示させます。点線の端の方に⑥と⑦のツールのアイコンが出て来ますのでわかりやすいです。

左右対称描画ツールと上下対称描画ツールの稼働状態の図

7.ここでは対称描画ツールの機能を分かりやすく図解するために、左右と上下の2つの点線で分割された左上の領域にひとつの正方形を描画してみました。すると自動的に他の3つの領域に同じものが描画されます。つまり、左右と上下対称ツールをの両方を稼働すれば、4分の一の領域を描画すれば残りは自動的に描画することができますということです。

8。②補助線ツールで作成したパス上を⓵ブラシツールで描画します。(補助線ツールでの描画については#補助線ツールの記事を参照ください。)

八藤丸文様の描画した結果


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