砂漠の老人
遥か昔、旧約聖書のヨブ記の時代、神が人類に試練を与えているかいないかというときのお話。所は変わり、タクラマカン砂漠とナミブ砂漠の間の、オアシスと統治国家の間にある静かな村にその老人は暮らしていた。
老人は小屋に住み旅人に道案内をしていた。報酬は何もいらない、ただ私のことは皆に教えないで欲しい。その約束で旅人に道案内をしていた。
この地域の人々は善良なる部族。この地域の部族は穢れているので話かけないように。その他様々な噂話や伝説を語り継いでいた。何千年も旅人達に道を教え、噂を流し続けていた。
雨の降らない日が続いた年に限り、老人の言葉により不平不満が募り、その度に部族はひとつひとつ途絶えていた。
老人は様々な異国の言葉を話したが、彼の母国の言葉というものを知る人は未だかつて現れた事はない。
そして、令和の時代にさえ未だに老人は道案内を続けており、その正体は誰にも気付かれていないという。GPSで辿っても彼の家は見つけられないが、今でもその目撃談と噂話は絶える事がないのであった。