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「ゼロウェイストショップ&カフェ つるかめ商店」に行ってきました


廃棄物ゼロを目指し、ハーブティーからドライフルーツやナッツ、乾燥野菜まで、多様なアイテムを取りそろえる量り売りのお店。
今回、私たち環境サポーターが向かったのは、三軒茶屋駅から徒歩約7分のところにある、「ゼロウェイストショップ&カフェ つるかめ商店」。食品ロスの削減やプラスチックごみの削減に積極的に取り組む飲食店や小売店等として、「せたがやエコフレンドリーショップ」にも登録されています。
「どうやって廃棄物ゼロを目指しているの?」
「私たちが環境問題のためにできることって?」
店主の斉藤陽子さんから様々なお話しを伺いました。


せたがやエコプレンドリーショップ 登録証


1.「廃棄物ゼロ」を目指すお店・つるかめ商店

つるかめ商店では、約50種類のハーブティーやドライフルーツ、ナッツ、乾燥野菜といった食材を量り売りのスタイルで販売しています。また、カフェが併設されており、コーヒーやクレープ、お酒も買い物のついでに楽しむことができます。
日持ちのしない生鮮食品は扱わないことでフードロスを出さないようにしたり、お客さん自身に袋や容器を持ってきてもらいそこに商品を入れてもらうことで、無駄なゴミが出ないようにしたり、さらには、マイタンブラー持参で30~40%引きにしたり。様々な工夫によって、廃棄物ゼロ、ひいては温室効果ガス削減を目指しています。 

2.きっかけは、買い物をする際のゴミの多さでした

日常的にゴミを減らすことを心掛けていたという斉藤さん。それでも、買い物をするだけでゴミがついてくる。趣味のハーブティーを買う際も、欲しいものを何種類も買うとたくさんの袋が必要になってしまう。そこで、試しに、直接お店に瓶を持っていき、そこに入れてもらうと、ゴミも出ないうえ、家に帰ってから再び詰め替える必要もなくなり、とても楽だったそうです。これらの経験から、自分で、ゴミを出さないお店を始めたいと思い至ったと語ります。

3.ゴミ問題に対する問題意識そのものが大切だ、という気づき

開店当初は、容器を持っていないお客さんを断っていた時期もありましたが、わざわざ来てもらっているのに断ることは気分が良いものではなく、また、仕事帰りのお客さんに「持ってきていなくて申し訳ない」と言わせてしまうこともありました。
そこで、完全な廃棄物ゼロを追求するのではなく、このお店に興味をもち来店したことにより普段スーパーで買い物をする際には意識しないであろうゴミ問題について認識し、少しでも減らそうと思うその心意気こそが重要で有難いと思うようになったそうです。そのような斉藤さん自身の意識の変化から、初めてきたお客さんや容器を忘れたお客さんに対しても、まとめて1つの袋に入れるなど、臨機応変に対応するようになったといいます。
そして、今では、それらの努力が実を結び、容器やマイタンブラーを持ってくるお客さんも増え、お客さんの意識の変化やお店の心意気の浸透を感じる機会も多くなりました。近隣住民だけでなく、遠方からも来店してくれたり、環境への取り組みについての質問をしてくれたりすることもあると語ります。
食品ロスの削減やプラスチックごみの削減に積極的に取り組む飲食店や小売店等として、「せたがやエコフレンドリーショップ」にも登録されています。

4.通う価値のあるお店を目指す

今後も量り売りのスタイルを継続させ、お客さんの環境問題・ゴミ問題への意識向上につなげていきたい、と斉藤さんは話します。しかし、量り売りは儲けが出づらく、お客さんが「このお店が続いてほしい」という気持ちがなければ長く続けることができないそうで、斉藤さんは、お客さんにお店や取り組みを理解し、通うだけの価値があると思ってもらう必要があると考えています。
今後も、お客さんがお店と出会ったことで、環境問題やゴミ問題への意識が向上してもらえるように、最初から瓶に詰められたドライフルーツの販売も始めることでお店へのハードルを低くする等のつるかめ商店だからこそできる工夫をし、お客さんが環境問題に取り組むことが楽しいと思えるような構想を少しずつ探していきたいと語ります。

私たち環境サポーターも、タッパーを持参し、
「量り売り」のドライフルーツを購入しました

5.若い世代へ、「時間やお金の使い方を考えて」

最後に、斉藤さんに、若い世代に向けたメッセージを聞いてみました。斉藤さんは、時間やお金の使い方を考え、自分の行動やお金がどこに流れていくか、ということを考えて、と語ります。
私たちは、快適さや安さといった目先の利益にとらわれがちですが、もし、自分が使った先の背景にまで視野を広げ、自分のお金がどこに流れていくか、といったことを考え、今までとは別のところに価値を見出すことができれば、日々の選択肢の幅が広がり、環境問題についても他人任せにすることなく、自分事として捉えることができます。
斉藤さんは言います、つるかめ商店も、時間やお金を使ってでも、また来たいと思える場所づくりを目指していて、つるかめ商店に来てくれるお客さんは、SDGsに参加している参加費を支払っている気持ちで来てくれているのかな、と。
自分にとって一番大事なことは何かを考えながら、時間とお金の使い方を決めること、それが大事なことだと教えてくださいました。


●この取材を通して…

つるかめ商店は、とてもアットホームな雰囲気で、斉藤さんもとても気さくで魅力的な方で、取材時間はあっという間でした。時間とお金の使い方を考えて、というメッセージは、とても興味深く、実際に楽しみながら環境問題に取り組み、さらにお客さんに愛されるお店を目指すための不断の努力をされている斉藤さんだからこそ、説得力があり、とても貴重な経験となりました。
また、斉藤さんは、「世田谷ゴミ拾い研究所」という活動もされており、その一環として、小学校での出前授業もされています。小学校での出前授業を主な活動としている私たち環境サポーターとも通ずるところがあり、学ぶところが多くありました。今後の活動に活かしていきたいと思います。

聞き手:みさき(環境サポーター)