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経年変化によって挽き出される魅力 〜ジャズアルバム『Plays Jazz Standards』デザイン

session noteでデザインをさせてもらった『Plays Jazz Standards 〜Yusuke Kono & Yuta Omino』(2021年6月19日発売)。
今回は、ジャケットデザインについて考えたことや伝えたいことを、説明しすぎない程度にご紹介できたらと思います。


どんな人に手にとってもらいたいか・届けたいか

今回アルバムを作るにあたり、どんな人に手にとってもらいたいかを伺ったところ、
・ジャズを聴いたことのない人が1枚目に手に取ってもらえるもの
・ジャズを演奏をしている・してみたい人に向けて参考になるもの
というもの。

そこから、「誰もが一度は聞いたことがあるであろうジャズのスタンダード(多くのミュージシャンが演奏するとされる曲)を集めたアルバム」を作成したという経緯がありました。

無形の音楽をビジュアルで表すとどんな表現が考えられるか

デザインに落とすまでに、ジャズや今回のアルバムについて、ミュージシャン2人と今作に込めた想いやキーワード、またざっくばらんに普段どんなことを考えているのか、パンケーキを食べながら雑談していきました。(2人はとっても甘党)

▽キーワード
同じ瞬間が二度とない
馴染みのあるものが形を変える
偶発性
音の複雑性
ルール上の自由
個性、あるがままのオリジナリティ
自分も知ってる、できそう、やってみたい
まず聞いてみてと渡せるもの(プレゼントなど)
圧倒的な印象
楽しそう、かっこいい

私自身、ジャズを演奏する者として、音楽ができるまでの難しさや、テクニックだけではない音、聴く人が存在する場の空気感、などについては実感があります。(まだまだまだまだ理解の追いつかないものも多くありますが、これから耳が鍛えられたり年齢を重ねることで楽しめるようになるのが今から楽しみです。)
また、昔の名だたるミュージシャンや同じ時代に切磋琢磨して生きたミュージシャンたちが何年も何度も繰り返し演奏したことで受け継がれてきたスタンダートを、辿々しくも弾けるようになるのことが素直に嬉しいと思う気持ちを加えて、今回デザインを考えていきました。

誰もが見たことのあるものが存在する奇跡と経年変化

ミュージシャンとも議論を重ね、最終的には「花」をモチーフにすることに。
誰もが見たことのある花をよく見たときに、1つとして同じものがなく、奇跡とも呼べる複雑性を持っていること。それはジャズの歴史や奏者のかける時間とスキルを表現する1つの方法でもあります。
また、同じ括りとされる品種が数多くあれど、その一輪が手元に送られる背景にあるストーリーを感じるものを。花は自分の生活を豊かにしてくれるものでもあり、誰かに贈るものを連想させます。ジャズを聴き始める1枚目になれるよう、贈り主の勝手だけれど「こんな花(曲)がこんなアレンジでまとまると喜ばれるかな」という想いが込められたらいいなと思います。
まだまだ発想は展開できるけれど、購入いただいた方それぞれに意味がついて、お手元に渡ってくれることが楽しみでもあります。

また、よく見ると花は枯れています。そして花の下に敷いているのは錆を使った染物。生花ではないことで意図が偶然付け加わり、枯れてもなお今しかない魅力を感じる「経年変化」というものがモチーフに。今回スタンダードを扱う上で1つの重要な要素になりました。
布はsabi-nunoさん。「じわりじわりと歳をかさねていく人のように、じわりじわりと味をだしていく錆。」という表現をされていて、作品の素晴らしさも相まって非常に素敵なコラボレーションをさせていただきました。

説明しすぎない程度、と言いながら抑えられないポイントを書き出していったら結構な記載をしてしまいましたが、そんなアルバムは以下より購入いただけます。(6/19発売、予約販売受付中)

また、発売に伴いリリースライブ情報も出揃いました。
全国津々浦々…とまでは難しいのが現状ですが、全国に行けるよう皆さんのお声がかかるようになるといいな。

■ツアー情報
>東京
・6/20(日)fluss @東京世田谷
>倉敷~神戸
・7/2(金)カフェ&ギャラリーPenny Lane@岡山倉敷
・7/3(土)デニムホステル float 宿泊者限定belk朝食プラン@岡山倉敷
・7/3(土)デニムホステル float @岡山倉敷
・7/4(日)gallary zing @兵庫神戸 
>千葉
・7/11(日)隠居屋@千葉松戸 (準備中)

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