山内ゆう(紙布織家) - 近代化の過程で失われた文化と地域のアイデンティティ
島根県石見地方の特産品である石州和紙を使った紙布という布は、かつてはこの地域の人々にとって当たり前にあるものでした。しかし、その生産は100年前に途絶えました。理由は廃藩置県、産業革命、都市集中型生活など、一言で言えば「近代化」にあります。そういった流れのなか、時間をかけて一枚の布を作る行為が時代遅れとして葬り去られたのは当然だといえるでしょう。人は近代化によって、時間や季節に左右されずに欲しいものを欲しいときに手に入れられるようになりました。今の私が山奥でも便利に暮らしてい