慶應SFCと雑誌文化[有識者おしえて]

レトリカという雑誌を2012年からつくっている。2年に1回、偶数年に刊行というビエンナーレ的なペースでやっているから、今年ちゃんと出せれば、ようやく5号ということになる。

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『Rhetorica#04』

5号は、いまのところ「文化と集団」という大雑把なテーマで考え始めていて、これから絞り込んでいくところだ。ちなみに、雑誌をつくっていないときも、同じ仲間で延々だべったり遊んだり仕事したりなにかしらの活動をやっているのだけど、それはひとまず今回の記事には関係ない。

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『Rhetorica#03』

レトリカのきっかけになったのは、ときどき新宿あたりで開かれていた、現代思想っぽいものや批評っぽいものを読む気楽な勉強会だ(この勉強会のことは昔書いた)。そこに参加していた仲間の何人かで集まって、最初の本『Rhetorica#01』をつくったり、出版社の新人賞に出したり、ちょっとしたサークル活動みたいなことを始めた。

ぼくとレトリカのデザインをやっている太田くんは、当時慶應SFCに通っていたから、新宿で勉強会をしたあと朝まで飲んで、小田急で寝ながら帰るという時間があった。なつかしい(もう7、8年前)。

SFCと雑誌文化?

レトリカは文フリやコミケ、通販が主な販路なのだけど、『Rhetorica#02』に関しては、SFCがやっているORF(Open Research Forum)というイベントにも出した。別に編集部がみんなSFCってわけではない。しかし、この号は、クリティカルデザインやスペキュラティブデザイン系の文脈、アルゴリズミックデザインの文脈など、当時のSFCのデザイン系の文脈がかなり入っていたから、大学とも接点を持たせた。

当時からいまに至るまで、SFCという場所と自分たちがつくっている雑誌の関係性は、微妙なものがある。というのも、SFCは、少なくとも自分が在学していたときの感覚からすると、ビジネスやソーシャル、情報技術の文脈が強く、レトリカで扱ってきたような、人文系やカルチャー系は相対的に弱いように思えたからだ(教員はいるしサークルもあるので、あくまでも、ぼくの感じ方です)。

しかし、SFCにもカルチャー系の雑誌が扱われる文脈はある。たとえば、90 年代後半からゼロ年代初頭にかけての伝説的なカルチャー誌『モンスーン』はSFCの学生が中心でつくっていて、お問い合わせ欄に大学のアドレス(t10515ss云々みたいなやつ)が書いてあった。検索すればすぐわかるけど、福田和也のゼミの学生だったとのこと。

最近の話に絞っても、たとえば、SFC出身のDJ・Licaxxxは、SFCの話をすることも多いし、編集者としての側面を強調されることも多い(これとか)。いわゆる紙の雑誌ではないけれど、シグマファットというウェブメディアでは、文字通り編集長も務めている。氏のように、伝統的な職業としての編集者かとは別に、編集という営みを意識して活動している人もいる。

SFCと雑誌文化の関連を探る[おしえて]

──というわけで、SFCにもいろいろ雑誌的なるものはあるわけだ。だいたい、SFCのDIY感覚みたいなものが、雑誌カルチャーとつながっていかないのはおかしいではないか!(同人誌とかミニコミ、ZINEみたいな想像力とそんなに遠くないと思う) しかし、ほかにどういうものがあるかあまり知らない。気になります!

ってことで、SFCの先輩でもある海響舎の小澤みゆき氏と一緒に、(広い意味での)SFCと雑誌文化という切り口で、これとか関係してるでは?という事例をたくさん集めてみようと決めました。ある程度集まってきたら、スプレッドシートに事例と年代を並べた年表的なものをつくってみようと思ってます。協力いただきたい!

まずはとにかく数を集めたいので、上にぼくが書いたような話とちょっと遠そうだなあと思っても、気にせずどんどんください。在学生による、こういうのつくってるよ!という宣伝みたいなものでもいいです。具体的には、下記フォームに記入いただけると幸い(ぼくにDMとかくれてももちろんOKっす)。よろしくお願いいたします!

以上。

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