身辺雑記(2020年8月下旬)

8月29日(土) 短気は損気

ぼくにとって、短気ほど自分を悩ませる悪徳はない。短気と言っても、いきなり怒ってモノにあたるとかそういう話ではなくて、自分のなかにイライラが一瞬で溜まり、それを言い出すこともできず、わけのわからない意思決定をしてしまうことに苦しめられている。たとえば、打ち合わせでイライラしてしまい、自分の仕事を増やすようなことを言ってしまうみたいな。

この悪癖について、自分のためのペペロンチーノをつくりながら考えていたら、短気は損気というフレーズが急に頭に浮かんできた。死ぬほどダサい響きの言葉だなと思うけど、実際真理である。

どっかのヘンな経営者とかが考えた言葉なんだろうと思いつつ検索してみると、世界で最も価値の高い情報ソースとして知られるトレンドブログで由来を調べてみたら──ところでぼくは鬱がひどくて動けなかったときにクラウドソーシングでこういうゴミを生産する仕事をしていたことがある、なんと短気は損気というのは、それなりに昔からある言葉であり、かつ、損気とかいう謎の言葉の実態は死刑であるということがわかってめっちゃ好きになった。

「短気は損気」の意味とは?慣用句の類語や使い方も(例文付き)

「短気は損気」の由来は浄瑠璃
「短気は損気」は、近松門左衛門の人形浄瑠璃が由来です。演目のひとつに「冥途の飛脚」という作品があり、そのなかに「短気は損気の忠兵衛」があります。

飛脚屋の主人である忠兵衛が、短気な性格が災いして公金を使い込み身の破滅を招いてしまうといったストーリーですが、客へ金を届ける飛脚屋が自らを冥途へ送ることになってしまったわけで、短気が死罪という割に合わない損失につながってしまう、怖い事例でもあります

死刑を「割りに合わない」と表現する圧倒的なトレンドブログ的想像力に慄きつつも、短気は死刑というおそろしく短気的なフレーズに出会うことができて、めっちゃ笑顔になった。ありがとうトレンドブログ。というほど信頼できるソースではないし、暇ができたらこの浄瑠璃を読んでみたい(というか、既に読んだことがある人がいたら、トレンドブログ的解釈が間違っていないかどうか教えてください!)。

8月30日(日) 津久井さん

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