読書記録「卒業のための犯罪プラン」

ネタバレ注意

浅瀬明先生の作品。2024年の『このミステリーがすごい!』大賞の作品。書店で表紙買いを友人とした作品ですが読んでいる最中はずっとわくわくしながら読むことができた。めちゃくちゃ面白い作品。

舞台は少し特殊な商業大学。そこでは学内専用の独自通貨が一般的だ。ルールはひとつ「現金と変えてはいけない」。これだけである。学食が食べれたり、家賃を払えたり、挙句の果てには単位を購入することで一年で卒業できたりするこの通貨をいかにして「稼ぐ」かを学生たちは日々知恵を絞っている。

主人公は必要に迫られて大量のポイントが必要になった。正攻法では溜まらないなら邪道な方法で稼ぐしかない。共犯者と知恵を絞り始める。

設定の時点で面白いし登場してくる人たちも個性的。仲間を欺かなければならない状況や裏切りなどもある。それでも本当の意味で犯罪はないので安心して読むことができる。記憶を消してまた読みたい。

気にいったフレーズ紹介
P161 「幸せっていうのは相対的な物なの。同じ事象が起きたとしても、対象の立ち位置によって幸福かどうかが変わる。(後略)」
P181、P182 「(前略)お化けやUFOを信じるのが想像力じゃなくて、疑うのが想像力だって。そういう空想を信じている人たちは自分のことを想像力のある人間だって思っているけど、それってほかの誰かが想像したものをただ信じただけの思考の停止にすぎないでしょう。他人の言う事を疑って、現実を疑って、常識を疑って、その先にあるのが本物の想像力だ(後略)」
P207「(前略)嘘も手段のひとつだと思っています。有用でありながら、リスクも大きい道具のようなものだと」(中略)「道具に善悪はありませんよ。善悪があるのは目的です。」

20240528



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