山で暮らす男
俳優の東出昌大さんが東京近郊の山に暮らし、狩猟をしながら半自給自足の生活をしていると知ったのは、昨年のどこかだったと思う。
元奥さんの杏さんのことは、ネットやTVで見かけたり話題になったりするのでなんとなく現在の様子を知っていた。
でも東出さんはメディアで見かけることがなくなっていた。
そしたらなんと、山で一人で自給自足生活をしていた。その様子をテレビの番組で紹介していたのを、ある時たまたま見て知った。
驚きました。まさかそっちへ!? そこにいたの、と。
私の中では、東出さんにそこまでのワイルドな印象がなくて意外中の意外だったのだと思う。
私はTVドラマの時から『コンフィデンスマンjp』のファンなので、東出さんというとその中の役の、ちょっと頼りない〝ぼくちゃん〟のイメージなのかも。
それで、その時に見た東出さんは、一人で山深く狩猟に行き、何時間も歩いた末「今日はだめですね」と淡々とあきらめ、車に轢かれた動物の情報を入手すると「命はできる限り無駄にしない」とその体を回収しに行き、自らさばき、食し、保存食を作り、壁の代わりにビニールシートか何かを周りに張り巡らせた〝リビング&キッチン〟のような所でコーヒーを淹れ、といった生活をしていた。野営をしているかのようだった。
野菜もこれから育てる予定、と言っていたような記憶がある。
コンフィデンスマンjpの頼りない〝ぼくちゃん〟ではなく、全てがありのままの荒い自然界の中に身を置く、逞しさと謙虚さを感じさせる人がそこにいた。
すごい自給自足。そう思った。
特にライフル銃を手に、必要な装備をして、一人で静かな山の中に入っていく姿と、撮影スタッフにかける言葉、そこから伺える知識に〝そこで暮らしている人〟を感じた。
そういった生活をする前から、狩猟免許を持っていて、趣味でそれはやっていたらしい。
だから、たまたまではなく、もともと好きな世界に行った。そんな印象を持った。
けれども実際のきっかけは、色々あった頃、東京で家を貸してくれる不動産屋がいなくて、山に引っ越したとのことだった。別に導かれたとかそういうのではないと。
山の中にいる東出さんは、とても自然な感じがした。イキイキというより、本当に淡々と暮らしていた。
論破王ひろゆきのYouTubeチャンネルの『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』にも出ていて、ひろゆきさんと一緒にアフリカを旅していた。あれも面白かった。
正直、ドラマや映画で演技をしている東出昌大は、「セリフが不自然…」と思う。すみません、生意気言って。でも、演技がどうのではなく「セリフが…下手だろー」と。しかし、アレはあの人の話し方で、インタビューの時も話し方がなんだかぎこちない……そう聞こえてしまうので、どうにもならない。すみません、生意気なこと言って。面白い話をしているのだけれど、話し方で(しつこい)それが半減する。残念だ。
(あくまで個人の感想です)
でも、台本のない雑談というか、そういう時はまた違う。(あくまで個人の感想です)
何が言いたいのかと言うと、彼は黙って何かしている時の方がいい。私が映画やTVでは見ることのなかった、東出さんの本来の魅力がそのまま出ている気がする。その番組を見た時にそう思った。
私の目には山で暮らす東出昌大の、暮らしの中の一つひとつの動作がとても丁寧なものに映った。人が生きる姿って美しいなと思った。
これは多分、東出さんが自然にやっていることだと思う。そういう人なのだろうなと。
そして、そこに溶けこみ、暮らしと一体になって生きているように感じる。
野生動物のドキュメンタリーが、そのままを写しているだけなのに見てしまうのと似ているかもしれない。
だから今の東出情報が目に止まる。
いつの間にか私は東出ウォッチャーになっている。
彼が俳優であの自給自足の生活が珍しいからとか、そういうことではない。
一人の人間が、自分が素で生きられる場所で、本来の自分を解放して、自分を発揮して存在していると、人は目が離せなくなる。
それではないかと思う。
2月には、東出さんの狩猟生活を追ったドキュメンタリー映画『WILL』が公開されるらしい。
できそうで、できないあの暮らし。
私は一人で山の中で暮らせない。たとえ電気ガス水道があっても暮らせない。怖い。
動物もさばけない。
魚はなんとか、必要に迫られれば……
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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