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No.30 あの一瞬の感覚を覚えている

娘が離乳食を食べるようになり暫くすると、私は一人で外出ができるようになった。
それまでは娘の食は母乳だけだったため、私と子供は二つで一つ。
のような感じで、長時間離れることはなかった。
離乳食を食べた後も食後の母乳はあげていたけれど、なくても大丈夫。
お腹は空かない。
ある日夫が
「もし出かけたければいいよ。子供は僕が見ているから。離乳食があるし」と言ってくれた。
な、なんと、一人で出かける?
妊婦時代も入れれば、2年ぶりくらいか?
お言葉に甘えて一日街へ買い物に行かせてもらった。
これは良い気晴らしになった。

帰り道、春に向かい始めた、柔らかい風の吹く夕方、
最寄り駅から自宅まで歩いた。
この時自分の中に何も無いことに気づいた。
「何もない」と言うのは、「何も気にして考えることがない」
と言う意味なのだけれど、
それまでに感じたことの無いような、とても心地よい感覚だった。

「もしかしたら私は人生で初めて本当に自由かもしれない」
そう思った。
「軽やか」だった。
あれは素の私の軽やかさだったのだろうか?

結婚する前、私にはいつも親の影がついてきていた。
親がどう思うか。親が何を言うか。
裏を返せば、「親から何も言われないように」防衛線を張り、
気を遣って生きていた
いい子だったのではなく、親に何か言われたり、揉めるのが面倒だったのだ。
親の何かに引っかからないように、実は人知れず慎重に生きていた。
今はそれが全くない。そう思った。
結婚をして、自分の家庭を築きはじめ、
私は私の中にあった重い呪縛から解放されている。

自由であることの心の軽さ。
初めて味わった。
あの感覚は忘れない。

今日も幸せな一日でありますように。

Love & Peace,

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