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MONSTARとICARUSの考察

はじめに

すべては題名の通り。JO1の楽曲「MONSTAR」と「ICARUS」の考察メモです。

英語はネイティブじゃないので文法英語のみ、神話もネット知識だけど楽しければOK精神で。過去に他界隈でひたすらMVやらTwitterの文章やらを考察させられるコンテンツにいたので行き過ぎてる可能性はあります。

※これは某雑誌で豆が言っていた解釈が「~だと思う」で終わっていたため必ずしもあれが正解って訳じゃないんだろうなと思い、私なりに考察したメモです。あくまで考察であり正解の分からない妄想なので批判はナシでお願いします。もし引用している内容などで間違えているところがあれば教えてください。


考察1.音楽的な部分

とりあえずまずは音楽的な部分から。もはや考察ってより事実。

そもそもこの2曲、ビート&ピッチ&長さがほぼ同じ。 イントロ⇒A⇒B⇒サビ⇒A'⇒B⇒サビ⇒C⇒落ちサビ⇒ラスサビ⇒アウトロ という曲の流れも同じ。

凄い細かいことを言うとピッチがMONSTARがニ長調でICARUSは変ホ長調と半音ズレていたり、MONSTARがBPM148でICARUSがBPM142だったりするけど(だからMONSTARの方が最初10秒ちょい長いはずなのに全体の動画の長さが9秒しか変わらない)そこまで大きな違いではない。

というよりむしろ、ICARUSはMONSTARの闇イメージに比べて光イメージだからってピッチ半音上げたりテンポ下げたりするの上手いなぁとすら思った。調合わせちゃったらビートがほぼまるっきり同じなのに(移動ド唱法にしたときにラ~ファ~ド~ソ~がずっと続いてる)普通に「似てるけど違う曲」に聞こえるし感覚的にはICARUSの方が明るく感じる。プロの技術で思いっきり殴られた感じがした。

※「移動ド唱法」というのは、ド以外の音から始まる調のときに始まりの音にドの音を当てはめて読むこと。簡単に言えば、この2つの曲をハ長調に合わせたらほぼ同じ音程になるよ、ってことです。


考察2.内容~元ネタ編~

続いては内容について。曲が出る前は題名通り「ICARUS」つまり「イーカロス」に関する神話かと思っていたんだけど、どうやら単純にイーカロスの話という訳でもなさそう…というのが私の意見。

何故かってのはとりあえず置いておいて、とりあえずそれぞれが何の話を元にしているのかから考察。


《MONSTAR》

MONSTARは恐らく月の女神・セレーネーと人間の青年・エンデュミオンに関する神話のセレーネー視点とエンデュミオン視点がブロックごとに展開されていると考えられる。具体的にはAメロのみエンデュミオン視点でB、Cメロ、サビはセレーネー視点。

詳しい考察に入る前にそもそもセレーネーとエンデュミオンの話をおさらい。

ある時、山で眠っていたエンデュミオンを見たセレーネーは彼にひと目で恋に落ちる。それ以降セレーネーは毎晩眠る彼の元へ訪れ寝姿を見ては帰るようになる。また一方のエンデュミオンも毎晩夢の中に現れるセレーネーに恋に落ちる(というよりは、セレーネーが訪れてキスをしたり抱き締めたりしてくる行為を完全に夢の中のものだと思っていた)。

しかしセレーネーは次第に自分とは違って老いていくエンデュミオンを見て離別を恐れるようになる。そしてある日、セレーネーはエンデュミオンに「老いて死ぬか、美しい姿で眠りにつくか」という2つの選択肢を与えたところ、彼は躊躇うことなく後者を選んだ。その答えを聞いたセレーネーはゼウス(ギリシャ神話の最高神)に頼み込んで彼を不老不死にしてらう。不老不死になると同時に永遠の眠りに着いたエンデュミオンは夢の中でセレーネーと永遠の愛を育んだのだった。

セレーネー視点と思われる部分の最大の根拠は「眠る君が目を覚ましたら 闇を抜けて 時空を超え 連れていくさ」という歌詞。ここは超意訳するなら「君(=エンデュミオン)が目を覚ましたとき(=私の愛が夢ではなく現実だと気が付いたとき)、私は闇を抜け出し、貴方の持つ寿命をも超越して、貴方を天空に連れてゆきます」ということなんじゃないだろうか。ちなみにここで言う「闇を抜けて」は「君を連れて地上から離れて天界に行くことで、暗闇に包まれた世界を(物理的に)終わらせる」という意味だと考察。その根拠は、本来天界にいるはずのセレーネーが地上に降り立って眠り続けるエンデュミオンの元に行くと、月が山に隠れて辺り1面真っ暗になってしまったという逸話から。

さらに「そのTraumaを壊せ すべて Break it」のTraumaはエンデュミオンの寿命のこと、つまり「人間なら誰でも持ちうる宿命」のことだと考えるとそこまで違和感はないし歌詞も繋がる。

エンデュミオン視点の最大の根拠は2番Aメロの碧海と祥生の振り付け。ここでは祥生が碧海に心臓を抜かれるという曲中で最もあからさまな振り付けが入っている訳だが、「エンデュミオンが心臓を抜かれる」「エンデュミオンの寿命が無くなる」「セレーネーから永遠の命を与えられる」と考えるとかなり辻褄が合う。MONSTARの他の場所でもICARUSでも中々ここまでわかりやすい振り付けはないのでかなり根拠になるのではないか。しかもここだけ一人称が「俺」。それを歌っているのは心臓を抜かれた祥生…つまりエンデュミオン。我ながらかなりいい線いってる気がする。(と、思いたい)

とまぁ、とりあえずは以上の理由からこの曲はセレーネーとエンデュミオンの話だと仮定する。他の歌詞の部分の解釈は後述。

※一人称が女性目線なのに「僕」だったり口調が男性っぽかったりというのは男性グループの曲である以上仕方ないものだと思ってるのでそこはあまり気にしていない。


《ICARUS》

ICARUSはMONSTARと同じ神話のエンデュミオン視点だと思われる。根拠は歌詞の中の「僕を眠らせた」とか「繰り返し見える果てなく続く夢」が1番有力。ただそれ以外にも、イーカロスの話ならおかしくない?と思う部分が多いのだ。

イーカロスの話は以下。

とある理由で父と共に塔に幽閉されてしまった青年・イーカロスは塔から脱出すべく蝋で羽を作る。羽を手に入れたイーカロスは無事に窓から飛び立って塔を脱出できたものの、自分の力を過信して太陽(=太陽神・ヘーリオス)の元へ向かってどんどん高く飛んでいく。しかし羽は蝋でできていたために太陽の熱で蝋が溶けて羽がバラバラになってしまい、海に墜落して死んでしまう。

先程音楽的な~の部分でも少し触れた通り、どちらかと言うとICARUSはMONSTARより明るい曲のように聞こえるので、題名通りイーカロスの話をそのまま当てはめてしまうのはあまりにギャップがありすぎて違和感。出たばかりのPVもMONSTARの黒に対して白が基調のセットだったのでICARUSの方がポジティブな曲であることはほぼ間違いないはず。PVのディレクター(?)の方も闇と光のような対比を意識したと発言している。

メンバーによる「ICARUSはMONSTARのアンサーソング」発言からしても、セレーネーと全く関わりのないイーカロスの話がアンサーソングに丸々起用されるとはあまり考えづらい。(イーカロスの話に出てくる太陽神ヘーリオスとセレーネーはきょうだいだが、イーカロスとセレーネーの2人にはなんの関わりもない)

更に言うと、「太陽の彼方へ」という歌詞がイーカロスの話だとするとちょっとおかしなことになってしまう。というのも、イーカロスが目指した場所はあくまで太陽(太陽神)。この歌詞的に主人公は太陽を目指すどころか越えてしまっているし、さらにはそのうえで「君」という誰かを見つけようとしているわけで。イーカロスは自分を過信して太陽まで飛んだ結果死んでしまっただけ(だけとか言うと失礼かもしれない)の男なので、誰かを想って、さらには迎えに行こうとまでしているICARUSの主人公とは一致しない。翼が壊れたり燃え落ちたりしてもなお道の途中にいて(「but I'm still on my way」)飛ぼうとしている(「もっと飛べ」)ところもイーカロスとはかなり違う。

というわけでICARUSの主人公がエンデュミオンだと仮定してみると何やら辻褄が合う歌詞も多い。例えば以下の通り。

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じゃあそれを踏まえたうえで結局この曲はどういう話なのか。私は「永遠の眠りの夢の中でエンデュミオンがセレーネーを探し出そうとする話」なんじゃないかと思う(夢の中でセレーネーを探し出す~という内容が何故導き出されたのかに関してはここで書くと長くなりすぎてしまうので、歌詞考察のところに記述しているのものを見て欲しい)。

題名のイーカロスは?というと、直接的に話には関係ないが、このストーリーの中のエンデュミオンはある意味イーカロスに憧れていた一面があるのでは無いかと考えた。

エンデュミオンはとある国の王様(一説では羊飼い)ではあるものの、あくまで人間でしかない。ただ題名のイーカロスも同じ人間なのに「翼を手に入れて飛ぶ」という人間には本来なし得ないことをした。最終的にイーカロスは自分を過信しすぎたために死んでしまったが、女神というまったく違う存在のセレーネーを愛し、一緒になりたいと願ったエンデュミオンにとって人間の業を超越したイーカロスはある意味「英雄」だったのではないだろうか。「自由になるのさ今」も「夢の中ではイーカロスのように羽を手に入れて自由になって、愛してくれる君を見つけ出したい」という願望のように捉えてもあながち間違っていない…はず。

正直神話が出来た時期の前後関係は分からないし実際の神話においてはもちろんイーカロスとエンデュミオンは関係ない存在だが、曲として利用するのであればアリかな、と思いたい。


考察3.内容~その他の歌詞編~

ここからは今まで考察した内容が全て正しかったと仮定した上でその他の歌詞で気になる場所の考察をしていく。かなり長いがお付き合い頂けたら嬉しい。

《MONSTAR》

ICARUSは抽象的な歌詞が多いがMONSTARは比較的分かりやすいのでササッと終わらせたい。


・I'm a MONSTARとI'll be your MONSTARの違い

これはもう公式で出ているように、MONSTARの持つ2つの意味がそれぞれ使われているのだと考えていいだろう。I'm a MONSTARの方は人間であるエンデュミオンにとって異色な存在であるという意味で普通のmonster、I'll be your MONSTARはMON+STAR=僕の星(というか星?)で私は貴方の星になりたい、つまり恐らくは「私は貴方を導く光になりたい」(Cメロで「光になってあげる」って言ってるし)という意味。MONは僕のって意味らしいけどそのままいくと「私はあなたの僕の星になる」って訳分からんことになってしまうので星の部分だけ取り出せばいいはず。


・I'm the one

I'm the one…。oneのあとに何も無いのが気になるが、これも歌詞で答えが出てる。これもCメロより「君だけの僕だから」、つまり正しくは「I'm the one for you」だと思われる。君には私しかいない…何たる自信。さすが女神様。

この他はもうそのままお話に当てはめるだけだと思うので省略。


《ICARUS》

こっからが本題。分かりにく過ぎるICARUSの歌詞を必死に読み解いてみた。途中あまりに分からなさすぎて泣きそうになったけど何とか読み解けたような気がする。


・「太陽の彼方へ(空の君へ)」、「君のもとへ」、「君へとFly」、「君の向こうへ」、「果てはきっと君」…矛盾まみれの歌詞の意味

初めにこの歌詞を見た時、君=セレーネーは月の女神なのに太陽越えて君のもとへとか、君のもとへって言ってるくせに君の向こうへとかってどういうこっちゃ…?と思ったのだが、きっとセレーネーが「月の女神である」ことこそがこの矛盾まみれの歌詞の答え。

どういうことかというと、そもそもセレーネーが住む場所はあくまで天界もしくは天空。「太陽の彼方へ(空の君へ)」は言わずもがな天空を指しているはずなのでクリア。「君の向こうへ」の「君」は、セレーネーが司っている「月」を「君」と見立てていると考えると自然。つまりこの2つの歌詞は、「月の向こう、さらには太陽をも越えて君が住む天空へ(=君のもとへ)君を迎えに行くよ」と言う意味。このように考えれば「君の向こうへ」と「君のもとへ」=「君へとFly」の矛盾の謎も解けるし、「果てはきっと君」というのも天空こそエンデュミオンにとってのこの世の果てであると考えるとおかしくならない。

ちょっとだけ前述の月なのに太陽越えて~の部分の補足。これは地学?的な話だが、仮にエンデュミオンがマジで地球から月に向かおうとした時、下の図のように月は地球の周りを回っているだけのため太陽を越える必要性はまったくない。

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※図は『キャノンサイエンスラボ・キッズ 日食・月食のふしぎ』より


・「一筋の光 差し込む And no gravity」

これもよく分からなかった歌詞。一筋の光ってなんだろう…無重力ってなんだろう…と思ったのだが、これは絵画にヒントがある気がした。それがこれ。

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アンヌ=ルイ・ジオデ=トリオゾンの 『エンデュミオンの眠り』という作品。セレーネーとエンデュミオンに関する作品では結構有名そうな感じなのだが…いや、もうめっちゃそのまんま「一筋の光 差し込む」やん。(西洋画苦手な人いたらごめんなさい)

この一筋の光は普通に考えるとセレーネーが司る月の光だろう。セレーネーがエンデュミオンに永遠の命と眠りを与え天空に運ぶ過程でエンデュミオンは「(And)no gravity」状態になり、セレーネーが天空に戻ったことで月が空に戻り「一筋の光 差し込む」になった、と考えた。順番的には逆だけど、andは前後の文章を並列してくれるので大きく問題はないはず。


・「I can't stop this」のthisがさすもの

thisは日本語で言うところの指示語なので前にある事柄を指していると予想。さらに直訳すると「私はこれを止められない」なのでthisは何か行動を指しているとも予想。直前の「永遠なんてこと~果てはきっと君だから」から考えても、「今はまだ見つけられていないけれど君は絶対にこの世の果ての天空にいるはずだから僕は君を探すことをやめない(やめられない)」ではないだろうか。今はまだ見つけられていない、というのは歌詞が最後まで「見つけるから」で終わっているから。


・「I'm like a butterfly」「息さえすべて君のよう」の歌詞の意味と「butterfly」&「息」の深い繋がりについて

個人的にかなり頭を悩まさせられた「I'm like a butterfly」と「息さえすべて君のよう」という2つの歌詞。どういう意味?と頭にはてなマークを浮かべまくったのだが、ちゃんと調べてみたらどうやらこの曲のキーワードでもある「butterfly」と「息」にはかなり深く繋がりがありそう。

というのも、「butterfly=蝶」も「息」もギリシャ語では同じ「プシュケー」という言葉。正確に言うと「プシュケー」の一番大元の意味は息で、後に蝶という意味ができたようだが、まぁあまり気にしなくていいと思う。

と、ここまで言ったところでちょっと「息」については一旦置いておいて、サビの最大のキーワードである「I'm like a butterfly」という歌詞を先に考察。最初聞いた時なんで突然私は蝶のようだ~なんて言い出したの?(しかもサビで)と思ったのだが、ギリシャにおいて蝶は「愛する人の化身」、さらにプシュケーが持つもうひとつの意味が「魂、命」らしい。そうすると前述の「君へとFly」の辺りや「I can't stop this」の項も踏まえて、サビは「実際にはまだ君を見つけるのに時間がかかるけれど、魂だけでも先に君のもとへ向かう」とか「蝶のように翼を手に入れていますぐにでも君のもとへ飛んでいきたい」とか、大まかにはそういう意味があると考えるのが1番自然。

で、「息さえすべて君のよう」。息さえの「さえ」ってなんだ…?と思っていたのだが、Aメロで僕が眠りにつき夢の世界の中で目を覚ましたことを考えると、この「息さえすべて君のよう」というのは「あの時(=眠りについたとき)に聞こえていた微かな声もそうだけど、今夢の中で感じる息でさえも君のもののように感じられるよ」という意味なのかなぁと思った。まだこの時点では夢現というか、ちゃんと夢の世界に入り込めていない状態というか。きっと僕が感じている息はちゃんと君のものなのだけど(夢の中でセレーネーはエンデュミオンにキスしてたみたいだし。詳しくは前述参考)、まだ理解はしきれていない…といったところだろうか。

「I'm like a butterfly」と「息さえすべて君のよう」の意味に直接的な繋がりはなさそうにしろ、もし私が考察したような意味があるのであれば「butterfly」と「息」で間接的に繋がっている…俳句とか短歌で言う掛詞みたいになってるのは上手いなぁとただただ感心してしまう。


・「覆るこの世の全て」

この世の全て、とはなにか。この話の主人公は私の解釈ではエンデュミオンなので、「エンデュミオンにとってのこの世の全て」が覆ったのだと考えた。とすると今までの流れからして、「セレーネーとの一連の流れによって人間の宿命である寿命や死(=「恐れることはない」の「恐れ」から)という概念が覆った」で良さそう。


考察から導き出した私的「MONSTAR」~「ICARUS」ストーリー解釈

色々と考察をしてたどり着いたお話がこちら。とはいってもまぁ大筋はセレーネーとエンデュミオンの神話なのでそんなに私が付け足した部分はないが。

山で眠りにつくエンデュミオンに恋をした月の女神・セレーネー。毎晩夢の中に訪れるセレーネーにエンデュミオンも次第に惚れ込み、人間と神という存在を超えた永遠の愛を育むため、セレーネーはエンデュミオンに不老不死の命と永遠の眠りを与えた。(「MONSTAR」部分。元の神話と全く同じ)

永遠の眠りに着いたのち、夢の中で目を覚ましたエンデュミオン。ただそこに永遠の愛を誓ったはずのセレーネーの姿はない。永遠の命なんて人間の自分からしたらあまりに突飛なもの、やはり嘘だったのか…そう思うが、セレーネーとの記憶が段々と蘇り、あの日(永遠の眠りについた日)のことは確かだったと確信する。夢の世界で死という恐れから解放され自由になったエンデュミオンは、セレーネーの元へ駆けつけるべく、永遠の命の限りセレーネーを探す旅に出るのだった。(「ICARUS」部分)


さいごに

という訳でMONSTARとICARUS考察してみた、でした。個人的にはこういうストーリー性がある曲大好きなのでもっと色んなやつ出して欲しいなぁなんて。MONSTARとICARUSについてはこんなにもあからさまに対比にしてきたから多分これで終わりだと思いますが、もしまた続きが出たらまた追記していこうと思います。長々と読んでくださった方、ありがとうございました。なにか間違えがあればぜひ教えてください。




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