マガジンのカバー画像

花見の思い出

5
運営しているクリエイター

記事一覧

花見の思い出⑤

あらすじ

俺とNくんは花見の場所取り中、寒さに耐えきれず、牛丼屋に避難し、そこで夜を明かした。

本編

朝の9時、俺たちは、牛丼屋を出た。
「牛丼屋の悪意ある冷房にも耐えて、なんとか朝まで頑張りましたね」とNくん。
「外よりも寒かったよ。まあ、さっさと公園に戻ろうよ」
「朝飯にラーメンでも食いません?」
「仕方ないな」牛丼屋で牛丼以外にも味噌汁などちょこちょこ食べていた俺は、あまり腹は空いては

もっとみる

花見の思い出④

あらすじ

隣のブルーシートで花見をしていた三人組と意気投合(?)した俺とNくんは、花見の場所取りを楽しんだ。

本編

23時過ぎ、三人組が花見を終えて解散した。俺とNくんは二人残された。
「いやー、タダ酒、タダ飯、たくさんもらって楽しかったすね」
「そうだね。楽しかったね。しかし、さすがに23時も過ぎると、だんだん人も少なくなってくるねえ」
徐々に花見の人々が帰路につきだしていた。花見の場所取

もっとみる

花見の思い出③

あらすじ

便所の近くでNくんと俺は花見の場所取りをしていた。

本編

夕方になると、だんだん花見客が増えてきた。場所取りの人々と花見客が合流し出して、そこかしこで宴会が始まった。

俺とNくんは、二人で、桜少ない便所の近くに、少し大きめのブルーシートを広げていた。宇宙の端っこにある離れ島みたいに、周囲のお祭り騒ぎから、身体も心も、離れていた。

「なかなか爽やかですね」
「爽やかだね、便所の近

もっとみる

花見の思い出②

あらすじ
大学に、アニメ研究部を作った俺とNくんは、新入生の花見の参加を待っていた。

本編

「結局、六人集まることになりましたよ、新入生」Nくんが嬉しそうに言った。
「まあ、上出来じゃないか」俺は言った。

花見の準備が始まった。Nくんがブルーシート、酒、お菓子を事前に買った。お惣菜は、悪くなったり腐ったりすると困るので、花見の場所取りの時に買うことにした。

花見は、土曜日に行う。勾当台公園

もっとみる

花見の思い出①

「花見をしましょうよ」Nくんが言った。Nくんは、俺の大学の後輩である。身体の関節の固そうな、痩せ型の男子大学生である。

彼は、大学生になったら「リア充」になることを目標にしていた。パッとしない高校時代を脱ぎ捨てて、飲み会、恋愛、友情、バイトなど大学生らしいことをたくさんしたい、という熱い思いで大学生になった。しかし、どうも、うまくいかない。大学で、なかなか友達ができない。グループでも浮いている。

もっとみる