#私を構成する5つのマンガ 「ユーモアとペーソスから命を見つめることを教わった5作品」

今回、私を構成する5つのマンガについて紹介したい。

1、「動物のお医者さん」

獣医学科の学生と動物のお医者さん達とのユーモラスなやり取りと、いきいきとした動物の描写に温かな感触を読後に味わえる1冊だ。

選んだ理由:身の回りの動物が、この漫画の中にいたりすると結構、彼らの心情について普段から考える機会を貰える。動物の気持ちを考えられるような優しい飼い主と動物のお医者さん(獣医・獣医学生)。

作品にはそうではない飼い主も登場し、動物は自分で環境を選ぶことは出来ない事実に衝撃を受けたのを覚えている。

2、「おたんこナース」

「動物のお医者さん」と同じく、佐々木倫子作品。

新人ナースのユーモラスな一人語りとその独特の感性は、苛酷な状況を乗り越えるためのヒントが詰まっている。

選んだ理由:ナースの慌ただしい日常生活を通して、患者一人一人に寄り添う医療のあり方や、病院の実情に目を向けるきっかけにもなった。

生理痛が辛く、ハードで倒れそうになりながらも仕事をしなければならない主人公の悲痛な心情…

男性には分かりづらい感覚かもしれないが、「生理休暇」なんてものがなくなってしまった現在、こうした不調を抱えたまま、仕事をする女性もいることとを知ってほしいものだ。

3、ちびまる子ちゃん

言わずと知れた国民的アニメの原作。作者の書くエッセイもあわせて読むと制作背景が垣間見られて、更に楽しめる。

選んだ理由:ありふれた小学校の教室の何気ない一コマなのだが、無邪気さと残酷さとが同居した状態の子供の冷めた視座が至る所に散りばめられている。

「カエルのはか」の墓標を「カエルのばか」と書き換える…なんだか身につまされるような一コマだが、これが子供という生き物のイタズラと称して行われる悪意の表出の実態だ。

4、無限の住人

永遠の命を得た無敵の剣豪が様々な人との出会いを通じて、殺伐とした現世を生き抜く姿は、耽美的な絵柄とあいまって、1コマずつが1つの作品のようだ。

選んだ理由:1本の線にも命が宿っているようなそんな画面構成、それをこの作品を読むことで少しずつ体得していったのかもしれない。

残念ながら、まだまだ及ばないものの、私の作風に、明らかに大きな影響を与えた1冊だ。

5、ハンサムな彼女

中学生にして、思いがけずに女優として活動することになった主人公のサクセスストーリーに絡めて、淡い恋心を抱く相手への接し方を教えて貰った作品でもある。

選んだ理由:途中ある登場人物の「白血病」が公表される一コマから、全てを手に入れた人が、期せずして病に倒れ、それを克服するための生き方に勇気づけられた。

今あるこの命を、どう使うかは自分次第だ。

そして、今ある、この状況に対して感謝するか、恨むか、それ以外の対処で事に臨むのかも、その人の決めること。

とはいえ、それを喜劇のように捉え、俯瞰する視点を私が手に入れるきっかけになったのが、以上の5作品だ。

どう影響しているかは、私にも説明しきれない部分があるが、愛すべき名作漫画である。

その影響については、私のイラストエッセイ「無帽のスナフキン」でご確認頂けるとありがたい。

エッセイ「無帽のスナフキン」
https://note.com/serra_honami/n/n9f8ff710e099

イラスト「画家の逃避行、いつも何かが起こる家」

https://note.com/serra_honami/n/n0072658ed4fc

長文ながら、最後まで読んでくれた、貴方のその集中力を称え、心から御礼を申し上げたい。

穂波 せら


















穂波せら(Serra Honami) 画家・俳優・映画コンシェルジュ・ライター。 自由と猫を愛するスナフキン似の人。座右の銘は「押してダメなら引いてみよ」