《星の砂》

キラキラした
砂のような銀色の粉が
天井から降ってくる
手のひらで
こぼさないように
掬いとると
粉はひと塊になった

よく見ると
金平糖みたいな
小さな星のカタチをしている

蛍光灯の影に隠れて
天井の一箇所には
ポッカリと
ピンポン玉くらいの
穴が開いていた
真っ青な夜空がのぞいてる
部屋の明かりを消してみた
思っていたよりも暗くなる

色々考えたのだけど
周りの人たちは
そんなに
僕を悪く思ってないだろうな
ある程度は
評価してくれている
そう思う

小さな星を握りしめて
天井の穴から
プラネタリウムのような
星空を見上げていたら
僕が大きくなった気がした

明るい時間には気づかない
惑星たちの対話に
耳を澄ますと
自分だけではない
溢れる想いで
おなかいっぱいになった

誰かの鼻歌が
大好きなメロディが
鼓膜の近くで鳴っていた
とても優しく
それは色鮮やかに
僕の心は
スッポリと包まれた

君も僕も
含まれているんだ
行き先は
違うように見えたけど
たいしたことじゃない

雨が降ってくる前に
天井の穴を塞がないと
心配なことはそのくらい

だけど
冷蔵庫の中は
いつもどおり
カラッポだった

足元に目をやると
猫のリンネが
おなかを空かして
まるで囁くかのように
小さく鳴いていた

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