《Satisfaction》

ウンチは金メダル。
トイレットペーパーは表彰状。

おなかが痛くなってトイレにかけ込むと、
YKKのジッパーを下げてお尻を出す。

前の日に食べたご馳走が
真っ白なTOTOの中に吸い込まれていく。
みるみるうちにおなかの痛みが消えていく。

生きた証は誰にだって残せる。
すべてはマーキングだ。
ウチの猫だって毎日している。

汚されたのは君じゃない。
汚したのは全部、ボクの方。

最期は
流しちゃう前に必ず確認してね!
あなたの中から出てきた私を。
かけがえのない存在を。

轟音と一緒に
チャイロの君は流れていく。
銀色のレバーをまわして水を流したのは
ボクだった。

左回りなんだ。洋式トイレの水って。
小学生の頃には気づかなかったヒントを
今頃になって君から分け与えてもらう。

さようなら。短い間だったけれど。
ホントにありがとう。

そして、ホントの幸せが訪れた。
ボクにもようやくこの日が。
この瞬間がやってきた。

少し軽くなった体を
左右に小刻みに揺さぶりながら。
ちょっと自慢げな表情で
ボクはトイレを後にする。
優しくなって電気を消した。

ウンチは金メダル。
トイレットペーパーは表彰状。

ボクは完全に充たされた。満足した。
たった今、一つ目の物語を無事に読み終えた。

明日になると
また、おなかが空いちゃうの?

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