《大鯵》

アジが育ちすぎて
おっきくなりすぎたの

一番おいしい旬を通り越して
みんなは
ボクに興味がなくなって
ションボリシテタラ
明日のアサが来た

アサにはアサの風が吹いて
ボクが箸でつついたアジは
ポンズショウユの味しかしなくて
卓上扇風機の風に吹かれてた

アサはすっかり目醒めたボクを
頬杖つきながら
鼻歌を唄って
流し目でみつめてる

どうした?
顔になんかついてる?
って聴くと

『ハナクソついてんで』
『嘘やん』
『ホ・ク・ロ』

いつも
ボクを見て
幸せそうに
アサは笑ってた

アサがやってくると
ボクはこのアジを思い出す

ボクがいて
アサがいて
アジがある




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