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◇特集【長寿企業に学ぶ】

新型コロナウイルスが蔓延し、
生活様式が大きく変わりました。
その影響を受けて経済が低迷し、
多くの企業が倒産や経営不振に陥っています。
事業の継続は大変難しいものですが、
一方、日本は長寿企業大国であることをご存じでしょうか。

 世界の長寿企業のうち 4割が日本企業

 世界に目を向けて、創業100年以上の企業数を比較してみると、世界で最も多いのは日本の3万3076社です。これは全体の41・3%を占めていて圧倒的です。続いてアメリカが24・4%(1万9497社)、3位のスウェーデンが17・5%(1万3997社)となり、これら3か国で80%を超える比率となります。

 さらに、これが創業200年以上となると、日本企業のその数は1340社となり、総数における日本企業が占める割合は65%まで上昇します。
 大河ドラマで脚光を浴びている渋沢栄一は多くの事業を立ち上げたことで有名です。明治維新後に日本初の銀行となる「第一国立銀行」(のちの第一勧業銀行であり、現みずほ銀行)を創設し、他にも「東京瓦斯会社」(現在の東京ガス株式会社)、「帝国ホテル」、「東京海上保険」(現在の東京海上日動)など、今でも約170社が継続して現存しています。

 破綻した企業 千年以上続く企業

 長寿企業ともなれば、直近の新型コロナウイルス禍だけではなく、第二次世界大戦、オイルショック、バブル崩壊やリーマン・ショックなどの経済・金融危機、阪神淡路大震災や東日本大震災の災害など、多くの困難を乗り越えてきた強さがあります。しかし、乗り越えられなかった有名企業もあります。

 証券業界の雄であった山一證券は、創業100年の年に損失隠し事件が発覚し倒産しました。繊維業界の最古参カネボウは、内向きのぬるま湯体質から粉飾決算を繰り返し、120年に亘る歴史に終止符が打たれました。大手百貨店のそごうは、バブル崩壊、平成不況、阪神淡路大震災などで経営打撃を受け、170年の歴史がありましたが破綻しました。

 このような大企業でも危機を乗り越えることはできなかったのですから、やはり、長年継続していくことは難しいことなのです。
 2020年に倒産した企業の平均寿命は23・3年です。業種の傾向をみてみると、最長が製造業の33・4年で、100年企業をみても3割近くが製造業となっています。

 一方、創業が最も古いと言われているのが、建築業の金剛組(大阪)で創業は聖徳太子がいた飛鳥時代(578年~)です。このような創業千年超えは旅館業に多く見られ、慶雲館(705年~・山梨)、古まん(714年~・兵庫)、法師旅館(718年~石川)などがあります。他には鋳造の五位堂工業(745年頃・奈良)、仏具の田中伊雅(885年~・京都)、刃物の牧瀬種子鋏製作所(鹿児島)、木工の大蔵製盆所(愛知)、建築の中村社寺(愛知)、和菓子の一文字屋和輔(京都)などがあります。

 これら長寿企業から企業が生き残るための秘訣や、逆境に打ち勝つ強さを学ぶことで、人の生き方や組織を運営していく方策など、何らかの役立つヒントがあるかもしれません。

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