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◇コラム【新・食べもの通信17】キャベツ ~“食べる薬”と呼ばれるほどに豊富な栄養が詰まっています~

祖先は青汁で有名な野菜です

 皆さんは、キャベツがお好きでしょうか。サラダ、スープ、炒め物など日々様々な料理に活用されています。

 ヨーロッパ原産のキャベツは、古代ギリシャ、ローマの時代から食べられていた最古の野菜です。野生種は丸くならずにケールのような状態の葉をしており、栽培が始まった当初、古代エジプトでは薬用とされ、時には甘く煮てデザートとして食べていたと言います。長い歴史の中で品種改良が行なわれ、現在のような丸い形になりました。

 健康飲料として知られる青汁に含まれているケールを原種として、葉が大きく変化したものがキャベツです。花が大きく変化したものはブロッコリーやカリフラワーとして別れていきました。

収穫前

洋風化によって身近になりました

 日本には江戸時代にオランダ人が持ち込んだことから広く伝わり、著述家・貝原益軒の『大和本草』には「オランダ菜」として記載されました。当時は観賞用とされ、食用ではありませんでした。なかなか流行せず、明治時代以降、本格的に栽培されるようになりました。

 日本でカタカナ表記が定着するまでは葉牡丹(はぼたん)や甘藍(かんらん)、玉菜(たまな)などと呼ばれていました。それから徐々にキャベツ菜などと変化して行き、1945(昭和20)年にようやくキャベツという呼び名が定着しました。戦後の洋食文化が広まった際、揚げ物に千切りキャベツを添えたことで、日本中に広がったと考えられています。

千切り

組み合わせの工夫でさらに良い効果を

 キャベツにはビタミンCやカルシウム、カリウム、葉酸、カロテンが豊富に含まれており、「食べる薬」と呼ばれています。

 中でも、ビタミンUと呼ばれる水溶性ビタミン様物質(※ビタミンと似たような働きをする物質)が含まれています。キャベツから発見された栄養素なので、キャベジンとも呼ばれています。胃や腸の粘膜を丈夫にしたり、荒れてしまった胃壁を整える働きをしています。胃酸の分泌を調整してくれる作用が期待できます。

 ビタミンUは、水溶性ビタミンのため熱に弱く水に溶けやすい性質があります。なるべく火を通さず千切りにするなど、生で食べるのがおすすめです。マヨネーズやお酢を使っても成分が壊れにくいため、一緒に組み合わせる野菜やドレッシングで、色々なサラダが楽しめます。

 ただし、キャベツにはビタミンAが含まれていません。そこで、カボチャやにんじんなどと合わせると、バランスが良くなります。

 カリウムは体内の塩分濃度を調節しています。水溶性なので、煮る・茹でることで溶け出してしまいますが、生のまま食べられるキャベツは、効率よくカリウムを摂(と)ることができます。

季節ごとの美味しさを楽しんでください

 購入の際は葉の緑色が濃く、鮮やかで、つやとハリがある物を選びましょう。また、葉や芯の切り口がみずみずしく、割れたり変色したりしていないものが好ましいです。調理する前には、しっかり洗ってから使用してください。

 保存する際は、丸ごとの場合は芯をくり抜き、濡らしたキッチンペーパーを詰め込みます。

 また、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ仕舞います。芯から水分が吸収され、ある程度鮮度を保つことができます。雑菌の繁殖を防ぐため、キッチンペーパーは2~3日で交換してください。カットしてあるものはラップできっちり包みましょう。

 キャベツは非常に身近で、応用の効く野菜です。今が旬のキャベツは葉が柔らかく、みずみずしいことが特長で、サラダなど生で食べられる料理がおすすめです。

 様々な料理に合わせ、たくさん活用してください。
                           (五島沙也可)

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キャベツとそっくり!?
芽キャベツとは

芽キャベツ

 見た目はとてもよく似ていますが、未成熟のキャベツというわけではなく、芽キャベツとして、ケールから品種改良されたものです。葉の付け根に出てくる脇芽が結球し、1本の茎に50個から60個が鈴なりに実ります。別名「子持ちキャベツ」とも呼ばれています。

 一つひとつは小さく、直径3センチ、重さは20グラム程度です。少しアクがあるため、たっぷりのお湯に塩を入れ、4~5分下茹でしてから使うのが一般的です。

 一般的なキャベツに比べ、ビタミンCなどの栄養成分が多く含まれています。用途に合わせ、活用しましょう。

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