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◇コラム「新・食べ物通信10」かぼちゃ ~抗酸化力で若返りが期待できる かぼちゃを食べましょう!~

昔は美味しくなかった?進化の軌跡

 皆さんは、かぼちゃはお好きでしょうか。鮮やかな果肉は加熱することで甘みを増し、日々サラダや煮物、揚げ物などで広く使われています。

 かぼちゃは古くから、原産地についていろいろと言われています。たとえば、紀元前7000年~5500年前のメキシコの洞窟から、かぼちゃの種が発見されたことにより、原産地は中南米であるという説が有力とされています。

 昔の品種は、果肉部は薄く繊維質で水っぽく、苦味も強く食べられる部分が少なかったといいます。遺跡から出土した標本などからも、古代のメキシコ人は果肉部分ではなく種子を煎って食べていたような形跡が残っています。その後、突然変異によって果肉の甘いかぼちゃが生まれ、それをアメリカの原住民が栽培種へと発展させ、育ててきたことで現在のかぼちゃに変化したと考えられています。

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数多くの品種世界で愛される野菜

 日本への渡来は日本かぼちゃ系品種が最も古く、16世紀に備後(大分県)に漂着したポルトガル船によって伝えられたことが起源とされ、これと前後して長崎にも入ってきたと言われています。一方、西洋系は19世紀後半から北海道を中心に広まっていきました。栽培は明治時代から行なわれてきました。

 現在、日本で栽培されているかぼちゃには、様々な品種が存在します。「日本かぼちゃ」、「西洋かぼちゃ」、「ペポかぼちゃ(ズッキーニやそうめんかぼちゃを含む)」に大別されます。

 かぼちゃは収穫後10℃前後の風通しの良いところで熟成させます。このことで水分が抜け甘みが増し、栄養価が高まります。ビタミンA(β─カロテン)、ビタミンC、ビタミンE、カルシウム、鉄分などのビタミン・ミネラル類をバランスよく含んでいます。世界中で栄養価の高い食材として親しまれています。

冬に向けて免疫力を高めましょう

 β─カロテンには粘膜などの細胞を強化し免疫力を高める働き、体を酸化から守る抗酸化作用があり、体の免疫力向上にも役立ちます。皮は実よりも多くのカロテンを含んでいるため、皮ごと食べるとより効率的に栄養を摂(と)ることができます。脂溶性のため、天ぷらや炒め物などの油を使った料理で吸収率が上がります。

 ビタミンCは白血球の機能を高めたり、抗ウイルスなどの働きを持ち合わせています。かぼちゃのビタミンCは加熱しても損なわれることがありません。これからの季節は風邪やインフルエンザなどの感染症予防効果を期待できます。

 ビタミンEは野菜類トップクラスの含有量を誇り、抗酸化作用のある「若返りのビタミン」として知られています。指先などの末梢血管を拡張することで血液循環を整える働きもあり、血行不良による冷え性や肩こり・頭痛などの改善に役立ちます。

栄養の宝庫を皮ごと美味しく

 かぼちゃに含まれる抗酸化作用や様々な効果は、現代人にとってうれしい効果であると言えます。日々ストレスと対峙する人にこそ、意識して摂取し
てほしい栄養素です。

 保存の際はカット済みのものであれば種とワタを除き、キッチンペーパーを空いた部分に詰めます。ラップでなるべく隙間の無いようにくるみ、冷蔵庫の野菜室にしまいましょう。食べやすい大きさに切った場合も、密閉袋に入れて保存してください。カットした状態で4~5日程度持ちますが、なるべく早めに使い切りましょう。

 丸ごとのものを選ぶ際は、へたの切り口が乾き、周りがくぼんでいるものが完熟のサインです。皮はツヤがあり、持ったときに重量があるものが美味しいかぼちゃの特徴です。カットされている場合は、果肉の色が鮮やかでワタが詰まっており、種が丸く大きいものがおすすめです。輸入ものの場合、皮に防腐剤が付着していることがあります。たわしでよく洗ってから使ってください。

 食欲の秋を迎え、おいしいものをおなかいっぱい味わっているという方も多いのではないでしょうか。今の時期は季節の変わり目となり、体調を崩しやすい時期でもあります。風邪や生活習慣病に負けない身体づくりを目指しましょう。
                           (五島沙也可)

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かぼちゃを使った料理は煮物、揚げ物、スープ、サラダと各種あります。
中でも山梨県の郷土料理ほうとうには、なくてはならない材料の一品です。

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